8月23日、教育家庭新聞社主催で第42回教育委員会対象セミナー(岡山開催)が開催された。当日は多数の教育関係者が参集し、ICTを活用した教育事例を共有。積極的な情報交換が行われた。
尾道市立日比崎小学校・大谷哲也教諭 |
平成27年度の小学校視聴覚教育研究大会で公開授業を行った尾道市立日比崎小学校。大会当日、同校では情報端末や電子黒板を各教科で活用した授業が展開された。
しかし、その1年前は、プロジェクターは4台のみで日常的な活用は見られず、情報端末はゼロ。電子黒板はユニット型でしまいっぱなし、無線LANも未整備、実物投影機は理科室にあり、多くの教員は「どこに何台あるのかわからない」という状況であったという。
これでは視聴覚教育大会には臨めないと考え、まずは環境整備に着手した。
実物投影機は学校予算で全学級に配備。無線LANの整備は市内では同校のみだ。大型ディスプレイは、パナソニック教育研究財団の助成により各学年に1台導入。ディスプレイ台は自作し、学校にあるユニットを付属してインタラクティブに操作できるようになり、活用の幅が広がった。情報端末は予算を確保できず、企業から40台の貸与を受けた。
ある程度機器がそろったら、次は活用だ。情報端末を活用することで、自分から進んで関わる児童が増えた。
外国語活動では、インターネットTV電話で台湾の小学生とお互いの文化について交流。交流前には、英語で紹介する様子を、情報端末を使って録画し、それを視聴して話し方を工夫した。「焼き鳥」について説明した6年生は、見せやすく提示する、相手の表情を見て再度ゆっくり言い直すなど、臨機応変な対応が見られ、非言語部分の表現のコミュニケーション能力を高めることができた。5年生は、英語を使ったクイズ問題を2年生に出題。2年生と交流する前に自分たちで確認もした。
算数ではドリル機能を活用して個別学習を授業内で実施。支援が必要な児童を迅速に把握して指導することができ、正答率が平均80%以上の児童の割合が11ポイント上昇した。
授業支援システムを活用して皆の考えを共有、グループ活動につなげる学習も行った。大会当日の授業公開に対する参加者の感想は、「授業の目的を果たすためのICT活用を行っており好感が持てた」「多くのヒントを得られる内容であった、本校もできることから始めたい」と、好評であった。
大会のために貸与を受けたシステムや情報端末は現在、すべて返却。校内LANが整備されたことと実物投影機と学年に1台のディスプレイが大会実施による財産であり、今後は、今ある環境でできることを模索して引き続き授業改善に取り組むと語った。
【講師】尾道市立日比崎小学校・大谷哲也教諭
【第42回教育委員会対象セミナー・岡山:2017年8月23日】