今年度初となる第40回教育委員会対象セミナーが7月4日、東京都内で開催され約110名の教育委員会・教員が参加した。セルラーモデルの情報端末を児童生徒用に約8000台導入する渋谷区教育委員会や初めて校務支援システムを導入した那須塩原市教育委員会などICT環境の整備・計画・活用に関する事例が報告された。今年度セミナー予定は教育家庭新聞Web(www.kknews.co.jp)へ
千葉県一宮町役場 山口裕之課長補佐 |
一宮町(千葉県長生郡)では地方創生に向け、若者の定着と子育て世代の移住者増加を視野にロボットプログラミングによる人材育成を推進している。子育て世代の移住・定住促進のためには、しっかりとした教育環境が必要と考えたからだ。
そこで平成27年に「ICTを活用した地方創生特別教室」事業で地方創生先行型交付金を受け、東浪見小学校でタブレットを利用して小学生が地域経済の仕組みを学ぶ教室を開催。千葉工業大学、富士通と協働で「産官学連携によるロボットプログラミング教室」事業を実施し、27年から4年間交付金を受けている。27年度に2つの小学校に校内サーバと70?電子黒板4台、教員用と児童用合わせてタブレット端末152台、教育版ロボット40台を整備。機器は授業で必要な機能を厳選して導入した。
まず、児童と教員を対象に千葉工業大学未来ロボティクス学科の青木岳史准教授が、プログラミング教育の必要性について講義。児童には、授業前に好奇心と興味を持たせるため、千葉工業大学が6年生を対象にプログラミングでロボットを作動させるデモンストレーションを実施してから、授業を3時間行った。レゴマインドストームEV3を使い、センサーがついたロボットを組み立て、動かすプログラムを作成し、コンピュータによってものを動かす仕組みを学ぶ内容だ。山口氏は「感動は大きいと感じる。児童はロボットを意図通りに動かすためプログラミングの改良を重ねていた。センサーを使ったプログラミングは、画面上でアニメーションが動くものよりも成功したときの感動が大きいようだ」と話す。
29年度は一宮小学校が千葉県総合教育センターの調査研究事業「小学校段階におけるプログラミング教育に関する指導法の研究」研究協力校の指定を受けた。アンプラグドやスクラッチの授業研修後、学校で授業を行い、レポートを提出する。カリキュラム作成は現在試行錯誤中で、今年は5、6年生でロボットプログラミングを行う。
30年度までは交付金により、授業は外部インストラクターによって実施。31年度以降は、地元の人材を活用する予定だ。現在は一宮商業高校の電算部が授業のサポーターとして参加している。同高電算部は全商プログラミングコンテストで36年連続入賞を誇る。地元の多くの人を巻き込んで、プログラミング教育を続けて行きたいと語る。
「子供が楽しく学び、都市部に出た学生も帰ってくる地域を目指して、ロボットプログラミングで地方創生を実現していきたい」と語った。
【講師】千葉県長生郡一宮町役場・山口裕之企画課長補佐
【第40回教育委員会対象セミナー・東京:2017年7月4日】