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教育ICT

校務系・学習系ネットワークを完全に統合し一本化 ゼロトラストで目指す働き方を実現<舞鶴市教育委員会 学校教育課主査 宮前敬太氏>

2023年11月6日
第101回教育委員会対象セミナー・金沢

教育委員会対象セミナーを10月3日に熊本市内で、10月13日に金沢市内で開催。堀田龍也教授・東北大学大学院・東京学芸大学大学院、大久保紀一朗講師・京都教育大学教職キャリア高度化センター、4つの教育委員会と3つの小学校、中学校、高等学校が登壇し、次のフェーズに向けたICT活用について報告した。


舞鶴市教育委員会 学校教育課主査 宮前敬太氏

舞鶴市教育委員会 学校教育課主査 宮前敬太氏

京都府舞鶴市教育委員会(小学校18校・中学校7)で校務系ネットワーク更新を担当した宮前主査は、校務系・学習系ネットワークの統合及びゼロトラスト認証の仕組みを導入した経緯を報告した。

…◇…◇…

本市教育委員会の更新前の教育ネットワーク環境は、校務系ネットワークはオンプレミス運用で市役所にサーバーを設置しており、端末の持ち出しや自宅からのアクセスを禁止する境界防御型で構築されていた。

GIGAスクール構想により整備された学習系ネットワークは、子供たちの授業用として個人情報などの機微情報は扱わない前提によるクラウド基盤での運用であった。当然セキュリティレベルが全く異なり、分離されている状態だった。

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更新に係る検討期間は202112月からの4か月。クラウド移行経験者である総務省情報化アドバイザー・山形巧哉氏にアドバイスを求めたことで一気に話が具体化した。セキュリティは何も事件が起こらず不便を感じていなければ現場から改善要望はされない。しかし危険な使われ方をされているなら、安全な環境を作る責務が教育委員会にはある。

■学習系を校務系構築の土台に

新たな教育ネットワークは、Microsoft 365 A5をフル活用してセキュリティの高いパブリッククラウド環境で構築し、校務系と学習系を完全に統合し一本化した。

本市の更新の特徴は、学習系を校務系構築の土台としたこと。学習系がデータセンター集約型でボトルネックのない良質な通信環境だったことから校務系構築時もトラフィック対策が不要だった。

自分たちで守るべきサーバーをなくしたことで管理効率が高まった。管理者やユーザー目線で見ると、使い勝手はGIGAスクール構想で整備された環境が業務の中心になったようなものである。管理者にとっては、以後の年度更新におけるID管理作業も非常に楽になった。

ゼロトラスト型認証の仕組みにより、学校の内外に関わらず、毎回ゼロベースでアクセスが正しいか否かを認証してデータにアクセスするため、場所の制限をかける必要がなくなった。

安全性も高まった。ゼロトラスト環境での安全性はアクセス認証の仕組みをどれだけ作り込めるかに掛かっている。本市では教員所持のスマートフォンを利用した多要素認証やMicrosoftの条件付きアクセス機能を組み合わせている。

認証された端末(エンドポイント)に対しても振る舞い検知機能(EDR)で対処・調査・修復まで自動化。これらはすべてA5の機能に備わっている。Microsoftのみで本当に安全なのかと聞かれることは多いが、設計次第で最先端の技術による統合管理や可視化が可能になる。ただし、セキュリティにおいて「絶対」は存在しない。予算と人的リソースにも限界がある。何のためのゼロトラストなのか、セキュリティなのかの本質を理解し、目的を持って合理的な妥協点を探ることが重要だろう。

■変化を許容し設計の思想を徹底する

日々の業務の変化はすぐに感じ取れる。しかしその先の業務の効率化まで進めるには業務の根本的な見直しが必要となる。さらに先に働き方や組織風土のデザインの変化という本質的な成果がある。ゼロトラストは特効薬ではなく、業務の効率化や人・組織の変化までは長期戦だ。

自由度や安全性は高く低コストというメリットはあるが、一方で「使いこなせるか」「変化を許容できるか」「設計の思想を徹底できるか」という視点が必要だ。

不安を持ったまま中途半端にゼロトラストを目指すと、逆にネットワークが複雑化・高額化する恐れもある。「まずは少しずつクラウド化」や「ハイブリッド化」は、セキュリティ、運用、コスト面で注意が必要だと考えている。

導入後の運用フェーズも重要だ。現場の教員にとっては日ごろの使い勝手が大切で、セキュリティや運用管理面は意識が及びにくい。目指す方向やなぜ必要かを繰り返し説明して腑に落ちてもらえるよう、根気や工夫が必要になる。

結局のところネットワークは使う人次第であり、ゼロトラストは目指す働き方を実現する手段の1つ。新しいネットワークの導入は一時的に教員の負担になる部分もある。今ある業務の在り方や働き方を「壊す」くらいの覚悟がないと根本的に変えることは難しい。

未整理の業務フローを変えずに、業務フローに合わせてITを導入する失敗も少なくない。IT導入においてはITの仕様に合わせて業務フローを見直すという感覚で導入したほうが上手くいく。

組織のITの戦略を組み立て、全体最適を目指すことも重要だ。個別最適なITを積み重ねても、統合管理や連携が不十分だと管理の負荷は増える。

ITリテラシーは社会人の必須スキルとなっている。受け身ではなく、ITについて自ら学び主体的に活用していく姿勢が教育委員会、教員にも求められている。

【第101回教育委員会対象セミナー・金沢:2023年10月13日 】

教育家庭新聞 教育マルチメディア号 2023年11月6日号掲載

 

  1. 加賀市教育委員会 地域プロジェクトマネージャー 教育長補佐 小林湧氏
  2. 京都教育大学 教職キャリア高度化センター講師 大久保 紀一朗氏
  3. 舞鶴市教育委員会 学校教育課主査 宮前敬太氏
  4. 野々市市立富陽小学校 教諭 髙縁麻奈未氏
  5. 氷見市立上庄小学校 校長 坂田和彦氏
  6. 石川県立金沢錦丘中学校 教諭 田中祐介氏
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