第82回教育委員会対象セミナー「GIGAスクール構想 ICT機器の整備・活用」を10月15日、札幌市内で開催。道内から100人を超える教員・教育委員会が参集した。当日はGIGAスクール構想スタートから現在までの運用や1人1台端末活用について、北海道教育委員会、札幌市教育委員会と道内教員2名が報告した。
2020年4月、北海道教育委員会にICT教育推進課が設置された。本課に所属して北海道全体のICT活用の推進を担当している荒瀬匡宗氏は、道立学校におけるICT活用状況や留意点、北海道教育委員会の取組を話した。
2020年8月、北海道教育委員会では学校におけるICT活用の方向性を示すため、ICT活用授業指針を策定した。道内の小・中学校ではほぼ1人1台端末の配備が終わっており、旭川市や深川市における先進的な取組を視察し、動画を作成した。また、道内の学校や市町村教育委員会を支援するために「道教委ICT活用サポートデスク」を設置。ICT活用に関する相談等を受け付けている。
ICT教育推進課のWebには「ICT活用ポータルサイト」「GIGAワールド通信」「ICT活用『みんなで研修』プログラム」「ICT活用授業指針」「道立高校におけるBYODパンフレット」「リモート学習応急対応マニュアル」を掲載している。
「ICT活用ポータルサイト」には、授業モデル「Tips編」「デザイン編」やICT活用ミニハンドブック、クラウドサービスマニュアル、情報活用能力一覧(参考例)、オンライン学習導入モデル事業・オンライン学習実践事例集などの情報を集約。「Tips編」では175事例を示し、各校の研修や実践に役立つような内容とした。
2021年3月12日付けの文科省通知の別添資料にある本格運用時のチェックリストの項目は、ぜひ確認し、アカウントやパスワードの重要性を踏まえた活用を行ってほしい。研修プログラムもぜひ参照してほしい。
1人1台端末の不適切な利用に関わるトラブルが報道されているが、この影響による活用の遅れがないようにしなくてはならない。便利な道具は活用を誤ると事故につながることがある。良い活用に向かうための判断や意識の醸成が求められており、情報モラル教育が重要である。
道立高校では2022年度から保護者負担でBYODが始まる。中学生にパンフレットを配布しているが周知のため、10月に再度通知し、すべての中学生に行きわたるように依頼している。
道立学校については、授業目的公衆送信補償金制度導入についての予算措置は行っている。
本制度について予算措置を行っていない市町村もあるようだが、これはICTを活用した学びを進めるために必要な制度と考えている。各市町村教育委員会においても、それを視野に入れた措置が求められている。
学習活動の視点から見た情報活用能力一覧の参考例では、小中高の流れを通した目安として利用してほしい。各校でこれを作成していくことが望ましい。小学校では中学校の、中学校では小学校のどの時期に何をしているのかを知ることが重要だ。
教育局の指導主事が講師として各市町村で研修を行えるように、今年度、指導者養成研修を行った。校内研修は最も重要で、教育委員会で示した授業モデルや研修動画を活用してほしい。自主研修でも活用できる。【講師】北海道教育庁ICT教育推進課ICT教育指導係長・荒瀬匡宗氏
【第82回教育委員会対象セミナー・札幌:2021年10月15日】
教育家庭新聞 教育マルチメディア号 2021年11月1日号掲載