教育家庭新聞は8月2日、愛媛県松山市でセミナー「GIGAスクール構想 ICT機器の整備・活用」を開催。愛媛県での開催は初。夏休みということもあり小中高等学校教員が多く参集した。
2017年からICT教育推進校として大型提示装置や端末活用に着手した神戸小学校の取組について十亀亮一教諭が報告した。
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アンケートによると、100%の児童が端末を活用した学習に肯定的。その理由として児童は、発表が苦手でも意見を述べられること、様々な人の意見や作品を共有でき、評価し合えることなどを挙げている。
小テストについても、端末を使うことで楽しく盛り上がるイベントとなっている。
ドリル学習については、紙のほうが計算しやすいという児童もいるが、6割の児童は好意的。苦手なところが出題される、誤った際は解説が出てわかりやすい、復習しやすいという点をメリットと考えている。
Googleスライドやスプレッドシートでは、共同編集も可能だ。
たとえば英語では、教員とALTの会話を聞き取って質問に回答するテストをGoogleフォームで実施。児童が答え終わったら自動採点で添削し、全体で振り返る。教員は、児童がどの問題を間違えたのかについて知ることができる。
国語の授業では、説明文の要約やおすすめの本の紹介文、詩などの作品やまとめ、意見などを共有。互いに感想やアドバイスなどのコメントを書き合い、各自で推敲している。コメントを全員につけることは難しいが、いいねボタンも使えることで、誰が見てくれたのかがわかる。
討論会の準備では、自分の主張の説得力を高める資料を収集。児童は意欲的に集めており、当日の主張でもそれらの資料を活用していた。
算数では、単元冒頭やチャレンジ問題で使用することが多い。これまでは、正解が板書されるまで問題を解かずに待っている児童がいた。端末を使うと、それぞれのペースで問題を解くことができ、全員提出を促しやすい。また、他の児童の回答をチラ見させながら進めることもできる。
このほか、社会、図画工作など様々な教科で「自分の考えをまとめる、共有する、コメントをつけ合う、振り返る」シーンで多く活用している。
修学旅行の班長アンケートなどもGoogleフォームですぐに集計している。
Googleツールのほか、よく活用しているアプリがノルウェー発のカフート(Kahoot!)だ。テキストや画像を使った4択問題を作成でき、アクセスしている全員の順番を、正解と解答時間の速さで表示する。5問作成した場合は、5問のトータル順位が瞬時に表示され、教室はとても盛り上がる。Web版とアプリ版があるが、使い勝手の面からアプリ版(日本語版)を使用している。
端末やクラウドを活用することは児童にとっても教員にとってもメリットが大きい。まずは使えそうな単元で活用を始めてみることをお勧めする。【講師】西条市立神戸小学校教諭・十亀亮一氏
【第79回教育委員会対象セミナー・松山:2021年8月2日】
教育家庭新聞 教育マルチメディア号 2021年9月6日号掲載