教育家庭新聞社は6月19日、「高等学校における1人1台端末整備と活用」をテーマにオンラインセミナーを開催。熊本県、岐阜県、山口県の講演内容を報告する。
熊本県内の市町村ではICT環境配備を早期に着手。高等学校の対応も必須という観点から2020年6月議会で、全生徒の3分の1の端末配備が決まった。今回は公費による配備だが、次回はBYODも視野に国の財政、県の財政、家庭状況、学校徴収金の在り方等4つの観点で検討する。
端末選定の際は議論があったが「問題はOSの選択ではない。生徒の情報活用能力育成である」という考えでChromebookを配備。1人1アカウントでクラウドを活用、自宅に持ち帰り充電をする運用だ。全校平等に進めるのではなく、全県立高50校のうち18校を先行実践校として1人1台環境を構築。
熊本県教育委員会GIGAスクール構想対応ICT活用研修・コンテンツ集「ICT活用推進研修パッケージ」を2020年11月に公表した。ガイドブック、オンライン研修、対面研修、訪問支援をパッケージにして提供している。
ガイドブック集はWebに掲載。テーマ別ガイドは「プログラミング教育」「情報安全・モラル教育」「遠隔学習・オンライン学習」を提供。それぞれ、研修スライドや動画を用意している。
オンライン研修システム「gacco」とも連携しており、教育センター研修として受講可能だ。訪問研修は、教育委員会の情報化推進室と教育センターの指導主事が担当。2020年度2月時点でWeb必須研修については、全教職員の8割が受講済。
熊本県版ICT習得モデルも策定し、4月に公表した。「情報活用の知識・技能」「情報活用の方法」2本柱で整理し、小学生から高校生までのスキルやリテラシー、情報活用力を5ステップ(小学校1~3、中学校4、高等学校5)で定めた。
現在、県教育委員会では、日本教育工学協会(JAET)の定める「学校情報化認定」に小学校・中学校・義務教育学校・高等学校・特別支援学校の全校が認定されることを目標に取り組んでいる。
端末配備・活用は4月からスタートしたが、6月には既に日常的に各校でグループワークや実習で活用。
また、熊本県立熊本西高等学校の「eスポーツ部」は、当初の7人から現在は50人に増員。先輩が積極的に指導にあたっていると聞いている。
【オンライン高等学校IT活用セミナー・高等学校1人1台端末活用:2021年6月19日】
教育家庭新聞 教育マルチメディア号 2021年7月5日号掲載