教育委員会対象セミナー「GIGAスクール構想 ICT機器の整備・活用」を3月1日神戸、3月9日福岡、3月16日静岡で開催。講演内容の一部を報告する。神戸開催は初。
枚方市(小学校45校、中学校19校)は、2019年度からiPad(第7世代32GB・LTEモデル)の1人1台配備とGoogle Workspace for Educationを導入。iPadは7月に最終学年に配備し、3月には全校導入を完了した。指針の策定・整備・活用は教育指導課が、活用の推進・研修支援は教育研修課が担当している。教育研修課の鈴木秀和課長、浦谷亮佑係長、教育指導課の髙橋瑞人係長が報告した。
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端末の導入、活用、配備後の新たな授業プラン、学びの保障に向けた取組など、これらすべてを同時進行で進めなければならず、正解がわからない状態でありながら、スピードも正確性も求められる中、多忙な学校にどんな取組を根付かせていくのかを課題として試行錯誤しながらできることから一つずつ取り組んだ。
iPadは、7月から導入を始め、年明けには全生徒に配備できるように調整。保護者向けリーフレットも作成した。端末配備前に、学校教育の変化について保護者が理解できるように端末等導入の目的と具体的な活用イメージ、保護者へのお願いも記載した。
学びの保障に向けて無理のない範囲で時間割を作成して授業配信も行った。家庭のオンライン環境が整っていない子供には、教員用として調達した端末を希望する約250家庭に貸し出した。
1人1台配備について不安なのは教員ばかりではない。教育委員会にとっても初めてのことが多く、不安があった。本市では、とにかく「つながる」ことを心掛けた。
配備内容や準備について、熊本市や奈良市、柏市などの担当者と何度も連絡を取り、話し合いを重ねた。企業にも相談した。
導入後は、各校のICT担当者会議を兼ねた管理職研修を実施。ICTが苦手な人に焦点をあて、ボトムアップのために研修動画「ICT 20Steps」も配信。20段階に分かれており、いつでも何度でも視聴できる。現在、全教員が8割程度の達成率である。
枚方市のICT教育モデルも策定。9年間見通した授業スタンダードとグローイングマップも作成した。
教員のモチベーション維持のため、得意な一部の教員が活用するのではなく全体が動く仕組みが必要と考え、全64校から各1名の情報教育推進ワーキングチームを設置。正解のない問いについて皆が共同研究者であるというスタンスでコアメンバー16名が毎週金曜日にオンラインで会議を実施。16名を6ユニットに分け、ユニット会議各9~11名で好事例を共有する仕組みを作った。実践事例は現在500程度集まっており、市内の教員がいつでも視聴できるようにしている。今後、学年・教科・活用場面等で簡単に検索できるようにする。
教員の創造力や意欲を一層推進する。子供の学び方は1人ひとり違ってよいこと、興味をもって自ら学び自ら判断できること、子供を信じることを共有して進めている。「枚方版ICT教育モデル」も策定し、浸透を図っていく。【講師】枚方市教育委員会教育研修課課長・鈴木秀和氏、同係長・浦谷亮佑氏、教育指導課係長・髙橋瑞人氏
【第76回教育委員会対象セミナー・神戸:2021年3月1日】
教育家庭新聞 教育マルチメディア号 2021年4月5日号掲載