2月17日、第75回教育委員会対象セミナー GIGAスクール構想の整備・活用を名古屋で開催。会場参加とオンラインによるハイブリッド開催は初。3月1日開催神戸、3月9日開催福岡は会場参加のみ。
2018年度にタブレットPC(iPad)を全小学校の高学年と特別支援学級に1人1台配備済で、2020年度に中学校に1人1台配備を準備していた際に始まったのがGIGAスクール構想だ。安藤氏が話した。
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現在いなべ市では、教員及び児童生徒全員にタブレットPC、全普通教室及び特別教室に電子黒板を配備。授業支援ツールやデジタルドリル、指導者用デジタル教科書(国語、算数・数学)を導入している。
組織として月1回、ICT定例会を教育委員会と首長部局、企業と連携して行っており、活用状況やICT支援員のサポート状況等、今後の計画について情報共有。
1人1台になってインターネットにつながりにくい状況が起こり、無線LAN配備を再調整、強化した。セキュリティ上の問題から、校務用PCは教員用ネットワーク、電子黒板やタブレットPCは児童生徒用ネットワークに分離。職員室のPCで作成した資料を電子黒板で提示したり児童生徒が作品提出させたりするため、タブレット用共有フォルダ(NAS)を介して校務用PC、電子黒板、タブレットPCでデータを共有。運用上の課題を解決した。
導入時のトラブルや教員の不安は必ずある。そこで整備内容に合わせて段階的なICT活用を計画。2018年度は1学期、夏休み、10月以降それぞれに「電子黒板と実物投影機に慣れる」「タブレットPCの扱いに慣れ、授業活用例を考える」「タブレットPCを使って授業をする、児童が個別学習をする」ことを目標とし、2019年度は「タブレットPCを活用した授業を日常的にできる」「対話的な授業をタブレットPCを介して行う」こと、2020年度は「タブレットPCを活用した授業により、思考力、判断力、表現力を高め、主体的・対話的で深い学びの実現を目指す」とし、校内研修もこれに合わせて段階的に実施。教員が作成し、事例共有サイトにアップして共有する「ICT活用事例シート」は2018年度から開始。検索して閲覧ができる。現在も継続している。
ICT支援員の役割は、授業支援、資料・教材作成支援、校内研修会と幅広い。小学校月4回、中学校月8回訪問を有効に活用するため、訪問日のサポート時間割の作成、各学級の週案の提供、ICT支援員が掲示板・回覧板・通信で情報共有している。
児童生徒、教員対象のアンケートも継続して実施。教員アンケートでは「ICT機器不足」「授業準備に時間がかかる」等に課題を感じる教員は少ないが「機器トラブルがあると授業が中断するが85%あり、今後の課題。学校と教育委員会・行政、業者と連携しながらサポート体制を充実し、いつでも誰でも使える仕組みを目指す。
タブレットPCに各自で意見や解き方を書き込み全体で共有する授業はよく見られるが、何をどう書き込むかで話し合いの深まりが変わる。
小学校6年算数「比例の学習」で、問題の解き方を「なるべく短い表現」で書き込ませると、「かけ算」とシンプルに書く子、「1枚の重さを求める」「100から300を求めた」「73に30をかける」など、同じ問題に対して様々な表現が出てくる。このうちどの解き方を知りたいのか、これはどんな解き方なのかを考えた。話し合っていくうちに「これとこれは違う表現だけど同じ解き方だ」などの発見も出てくる。
6年社会では、大昔のくらしの絵を拡大。何をしているのかわかり説明できる部分は青、何をしているのかわからず疑問に思った部分やわかったけど自信がない場合は赤の色でマルをつけ、疑問に思った人が多い部分から話し合った。
「地球温暖化を止めるため化石燃料の使用はすぐやめるべき」などの意見について賛成か反対か示す際は「赤」「青」等色で示した。色の面積でどちらの意見が多いのかがすぐにわかる。【講師】いなべ市教育委員会教育研究所・所長補佐兼指導主事 安藤正一郎氏
【第75回教育委員会対象セミナー・名古屋:2021年2月17日】
教育家庭新聞 教育マルチメディア号 2021年3月1日号掲載