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教育ICT

「ノイズ」を削らない学びへ<京都大学大学院 石井英真准教授>~教育改革国際シンポジウム 国立教育政策研究所

2021年3月1日
教育改革国際シンポジウム

「ICTを活用した公正で質の高い教育」の実現には、「公正」「質」の意味の共有が必要だ。国立教育政策研究所は「ICTを活用した公正で質の高い教育の実現」をテーマに2020年度教育改革国際シンポジウムをオンラインで開催。討議で堀田龍也教授(東北大学大学院)は「学力に対する大きな方向転換が世界的に起こっている。新しい方向性を知らずにリーダーシップを発揮することは難しい」と指摘している。


人はそれぞれに違いがあり、それを格差にしないこと、希望を見出せる違いとすることが重要。1人では弱く、互いに助け合わなければならないものである。

「学びを止めず、救える子から救う」ことは「学びの保障」である。そのうえで、違いが生じた場合に対応、学びの質を保障していくのが「公正」だ。

ICT活用が教育的価値を高めるためには、本物の世界や研究や活動のように、より複合的で、割り切れなさやノイズを含んだ学習や活動にアクセスする機会を拡大する方向性で実装される必要がある。

学校の学びでは「ノイズ」を削りがち。だから現実社会が見えにくくなる。PCが学習を方向付ける「AI先生」よりも、子供たちがPCで学び合う、もしくは子供とPCが学び合うような、より人間的で主体的なデジタルメディアとの付き合い方が重要だ。

学習者が日常的な学びで活用する各端末の先の膨大なデータやつながりは、デジタル市民=アカウントをもって自分のデータを管理する主体となる第一歩になる。

1人1台PCにより「一対一の机間指導の強化」「学びの孤立化」「協働化の促進」が起こり得る。一対一の手厚い個人指導を理想化することは危うい。前者2つではなく、協働的プロジェクトや個人作業の協働化の促進が求められる。

AIドリルは低学力の子供たちの学ぶ意欲に火をつけ、学習量の増加につながるかもしれないが、年齢が上がるほど「学び」の動機付けにならないからだ。

探究的な学びを支援するPBLの「点」をつなぎ、ストーリー化していくカリキュラムマネジメントや生徒の学びの広がりを促すコーチングが必要。リアルな問題と格闘している当事者との協働関係が学校の価値を高める。

日本人は、「協働」はできるが「対話」が苦手だ。対話は、相手を自分と異質な存在であるという多様性を理解しないと成立しない。

教育家庭新聞 教育マルチメディア号 2021年3月1日号掲載

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