第71回教育委員会対象セミナーを10月6日札幌市内で、72回教育委員会対象セミナーを10月9日仙台市内で開催し、札幌会場は約200名、仙台会場は約100名の教員と教育委員会担当者が参集した。
文部科学省情報教育外国語教育課・情報教育振興室長・水間玲氏
7月に文部科学省情報教育外国語教育課・情報教育振興室長に就任した水間玲氏はオンラインでGIGAスクール構想の推進について話した。
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2019年度｢教育の情報化実態調査｣によると、児童生徒のPC配備率は4・9人に1台であった。GIGAスクール構想を始めとする国費による整備で次回調査結果が大幅に改善されることが期待されている。
物理的な整備の後は、教員の指導力がますます求められる。
新型コロナ感染症の拡大で、学びのあり方は大きな変容が求められた。6月23日時点の調査｢新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえた公立学校における学習指導等に関する状況｣では、準備期間が極めて少なかったにも関わらず、同時双方向のオンライン授業は、1794自治体中15％で行われていた。4月の調査では5％であったことから、10ポイント程度の伸びが見られた。また、学習動画の提供は26％、デジタル教材の提供は40％と、ある程度行われていた。
1人1台のPC配備は緊急時の学びの場の確保にとっても重要な環境だ。PCの家庭への持ち帰りやオンライン学習の仕組み作りなど、8月調査時点では｢検討中｣が多い状況であったが、検討ではなく準備が必要ではないか。具体的な対策を一日も早く立ててほしい。年内に再調査を予定している。
今年から小学校でスタートした新学習指導要領だが、小中高等学校共通のポイントが｢情報活用能力｣を学習の基盤となる資質・能力と位置付けている点、学校のICT環境整備とICTを活用した学習活動の充実を明記している点だ。特定の科目ではなく総則に記載されていることの意味に改めて注目してほしい。
GIGAスクール構想による1人1台PCは、情報活用能力をすべての教科で育み、発揮するためのもの。一斉学習、個別学習、協働学習は、1人1台PC配備の前後で変容する。クラウド活用を前提とした学びの転換が始まる。
教科の狙いを達成しながら情報活用能力を育み、発揮していくこと、さらに教科の枠組みに捉われず、情報を有機的につなげ、社会的課題等の解決や1人ひとりの夢に向かって探究していく学びが求められていく。
1人1台PC配備はほとんどの自治体において年度内に終わる見込みだ。各自治体では納品業者の選定はほぼ終わっている段階で、PCのキッティング等に時間がかかっているようだ。キッティングの方法なども動画で紹介しているので活用し、スケジュールを再度見直すなどして、一日も早く子供たちの手元に端末が行き渡るようご協力をお願いしたい。
人材支援については、GIGAスクールサポーターやICT活用教育アドバイザー、ICT支援員など、外部人材の活用促進を行ってきたところ。学校ICT化サポート事業者の一覧を公開（10月15日時点で76件）しており、随時拡充中だ。GIGAスクールサポーターは年内に再度、意向調査を予定。積極的に活用してもらいたい。
学習者用デジタル教科書については、次の小学校の教科書改訂時期である2024年度を見据えて有識者会議で今後の在り方等について議論されている。今後は、学習履歴を蓄積・分析して全国の小中高等学校で活用できるようシステムを改善・拡充する。【講師】文部科学省情報教育外国語教育課・情報教育振興室長・水間玲氏
【第72回教育委員会対象セミナー・仙台：2020年10月9日】
教育家庭新聞 教育マルチメディア号 2020年11月2日号掲載
