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教育ICT

Chromebook約4万台 8月導入開始 バッテリー耐用年数を考慮して4年リースで配備<姫路市教育委員会 総合教育センター教育研修課主任・藪上憲二氏>

2020年9月7日
第68回教育委員会対象セミナー・大阪

姫路市教育委員会(小66、中32、義3)はGIGAスクール構想で小中学生に11台のChromebook4万台を4年リースで配備、8月には納入が始まる。2009年度から情報政策室でインフラ整備を担当し、2018年度から教育研修課に所属して整備を担当した藪上氏が報告した。

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姫路市教育委員会 総合教育センター教育研修課主任・藪上憲二氏

姫路市教育委員会 総合教育センター教育研修課主任・藪上憲二氏

 当初姫路市では2022年度に整備完了を考えていた11PCだが、GIGAスクール構想の前倒しでChromebook4万台を追加整備し11台環境を今年度中に用意する。

 台数が多いため、単独調達とした。

 コロナ禍で世界的な部品不足との情報もあり、5月に調達を開始することで早期の配備が可能になった。PC5年リースが多いが、バッテリーの耐用年数を考慮し、4年リースとした。

 なぜこのような整備としたかについては、2013年度に導入したタブレットPCは初期化ソフトが毎回起動し、デスクトップが表示されるまでに時間がかかったことや、6年間活用する中でバッテリーが1時限ともたなくなるなどの問題があった。

 また、OSのアップデートの際のトラブルもあり、当時運用していた台数でもかなり大変だったため、これが4万台になることを考えると、同様の整備は避けたいと考えた。Chromebookを選んだのは長い電池持続時間、起動の速さ、頑丈で壊れにくい、セキュリティ面で優れており初期化が不要のほか、何よりもクラウドによる運用管理が容易である点を評価した。

SINETへの早期接続

 検討課題はネットワークの強化だ。

 校内のネットワーク整備は複合的な整備のため、小規模校を除き業務委託で実施。現状1クラスあたりに必要な帯域は100M程度となるため、支線は既存の配線(Cat5e)を活用することとし、10G化(Cat6A)は幹線のみとした。

 4万台のPCが起動して問題なく接続するには、1台あたり1M必要であると考えると40Gが必要になる。そのコストは膨大になるが、それを回避するため、兵庫県及び兵庫県立大学の協力を得てSINET6月から10Gで直接接続。2022年度には40Gで接続することを考えている。接続先との距離も近く運用コストもそれほどかかっていない。

■アカウント配備でクラウド活用開始

 アカウント配備はもともと今年度の配布を予定していたが、コロナ禍の対応で早まった。

 まずはアカウントの整備が重要と考え、小中高生約45千人にGSuiteのアカウントを郵送。

 各自ログインして確認することを家庭に依頼し、接続状況を確認した。その際多くの問い合わせがあり、主にスマートフォンからのログインの方法がわからないことであった。

 アカウントについては、IDは文字列としたが、表示名は氏名が表示されるようにした。年次更新を容易にするため、所属する学校以外の情報を入れない運用を行う。

 今後はGoogleClassroomをベースとした活用やクラウドベースのドリル教材の活用を想定。クラウドの活用により、提出物や宿題等の配布・回収・採点の効率化を考えている。

 課題は、家庭の通信環境だ。低速環境にも配慮できるオンライン学習の方法が必要と考える。

 ただし、この度の国庫補助で整備する貸出用のWiFiルーターについては、緊急時のみの対応とし、使用料負担の観点から最低限の台数を予定している。

■指導者用PCを廃止

 校務用PCを指導者用PCとしても活用できる方針に転換。無線の切替により実現し、校務系の無線ではセキュリティの高いEAPTLS方式を採用。これにより無線のセキュリティを担保すると共に、データの受渡しがなくなりUSBメモリの使用が激減。また、指導者用PCをなくすことでコストも激減し、市長から「カイゼン表彰」を受賞。これらの努力により財政部局の信頼を獲得し、今回の調達にも役立った。

PC教室を廃止

 11PCとなることで小中学校のPC教室を廃止の方向で予算を確保。PC教室はプログラミング教室に衣替え予定だ。既にロボホンを導入済で、本年度はマイクロビットを1クラス分導入予定。

 GIGAスクールサポーターは、ICT支援員を補完する役割で8名を半年間程度配備予定。

 コロナ補助金では三密を避ける目的で、空き教室等に電子黒板を調達中。今後は教員研修のほか、3校の研究協力校で活用実践を進める。【講師】姫路市教育委員会 総合教育センター教育研修課主任・藪上憲二氏

【第68回教育委員会対象セミナー・大阪:2020年8月3日】

教育家庭新聞 教育マルチメディア号 2020年9月7日号掲載

  1. 奈良県教育委員会・県立教育研究所主幹・小崎誠二氏
  2. 尼崎市教育委員会教育長・松本眞氏
  3. 姫路市教育委員会 総合教育センター教育研修課主任・藪上憲二氏
  4. 近畿大学附属豊岡高等学校・中学校学習指導部長・ICT教育推進委員長・奥田幸祐氏
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