10月25日、大阪で開催した教育委員会対象セミナー「IT機器の活用と研修」は、教育行政関係者と教員が約60名参集。教育委員会関係者は40名を超える参加があった。
人口規模約5万人の小野市(小学校8校、中学校4校、幼稚園2園、特別支援学校1校、教職員約300人)では、「夢と希望を叶える教育」をスローガンに、2016年から全校で小中一貫教育を行っており、9年間連続した学びの充実を図ることができる校務支援システムを構築した。藤原正伸主幹が報告した。
小中一貫教育の一環で、学校でのコミュニケーションを支援し、働き方改革を実現しながら、教育の質を高めようと児童生徒の指導情報を共有・引継ぎしやすい仕組み作りに着手。校務支援システムとして、首長部局と教育委員会が連携する情報共有シートの作成・保存ができるシステムを構築した。活用を始めて3年目だが、教職員は、コミュニケーションが円滑になったこと、情報の一元管理化、帳票等の標準化ができたこと点を肯定的に評価している。
出席簿、通知表、指導要録、調査書など各種帳票は一度入力すればすべて連携できる。
小中学校ともに形式が近かったこともあり、若干のずれをすり合わせることで、標準化を進めることができた。教員の校務用PCには必要な外字も配信して運用している。
効率化も進んだ。システムのグループウェアを活用することで、校内・市内の教職員間で多くのやり取りが紙媒体なしでできるようになった。
外部メールは活用しておらず、教職員間の連絡は内部メールのみで行う。
行事の反省やふり返りでは、アンケートシステムが大変役立っている。
共有フォルダで市内の学校情報を共有。英語教材の共有から始めている。市内13校の行事予定も共有。校長会や研修などの開催日程が調整しやすくなった。
校内の共有ボードには、継続したい連絡事項と、その日のみの連絡事項を分けて入力できる。教職員間で児童生徒の学習指導、生徒指導にかかわる共通理解事項など、職員朝会での報告事項はここに記録として残す。
アレルギー等の児童生徒の健康状態や既往症の情報も共有。医療機関や連絡先など、初期対応に必要な情報が記録され、9年間引き継がれる。
小中一貫した情報共有が可能になり、児童生徒の指導に役立つ各種情報を閲覧することもできるようになった。
学校HPもこれを機に標準化を図り、異動しても校務をストレスなく継続しやすくなった。
学校現場からは、さらなる情報共有を求める声が多く届いており、今後は勤務時間の適正化やセキュリティ対策、就学前情報との連携や特別支援に係る切れ目ない支援、健康情報の一元管理化など新たな共有を図り、課題解決に着手していく。【講師】小野市教育委員会学校教育課主幹・藤原正伸氏
【第61回教育委員会対象セミナー・大阪:2019年10月25日】
教育家庭新聞 教育マルチメディア号 2019年12月2日号掲載