10月25日、大阪で開催した教育委員会対象セミナー「IT機器の活用と研修」は、教育行政関係者と教員が約60名参集。教育委員会関係者は40名を超える参加があった。
人口約37万人の吹田市(小中学校54校)では、サーバ及び端末機器のリース期間終了に伴い、情報ネットワークの再構築に着手。校務支援システム導入に向けて開始したネットワーク構築プロジェクトについて吹田市立教育センター・西口氏と教育委員会指導室・藤岡氏が報告した。
2014年度当時、校務用PCは3人に1台程度の整備率で、USBメモリを使用した運用等、セキュリティリスクもあり、校務用PCの台数不足が最初の課題であった。
センターサーバ方式にしてセキュリティを堅牢にし、1人1台の校務用PCを配備することとした。PCはまだ高価で潤沢な整備は難しく、児童生徒数約3万人に対して教職員及び児童生徒用に約4000台を配備することを目標に設定。
新システム構築にあたり、行政系端末約3000台よりはるかに多い端末が必要となり、専門知識や人員、情報収集力も不足。そこで、コンサル業者と年間800万円程度で契約することとした。
幅広く教職員の声を聞くため、検討委員会も発足。これまで通りの仕組みを希望する声はベテラン教員に多く、若手教員からは、校務システムの導入による校務の共通化のニーズが高いこともわかった。
吹田市規模の場合、校務支援システムの新規導入には約1億円が必要。財政担当部署には、システム導入により情報共有を図ることで時間と手間が削減でき、教育の充実につながると訴求。予算を確保し、2016年にプロポーザル方式でシステムを決定。
2018年1月にグループウェアの活用からスタート。教職員研修もこの年から開始した。校務用PCは、キーボード脱着式のタブレットPCを導入。校内LANも再構築し、職員室に無線LANを整備した。
システムはセンターサーバで管理し、住民基本台帳システムと同等のセキュリティレベルを確保。学齢簿との連携も図った。住民基本台帳システムの外字を使用したので、新たな外字システム導入は不要になった。
校務系と学習系でネットワークを分離して、認証は二要素認証(静脈認証)を採用。校務支援システムは仮想領域で運用している。運用2年目だが、現在までセキュリティの問題は生じていない。
通知表は、54校それぞれが異なる通知表を作成する運用だ。【講師】吹田市立教育センター主査・西口拓氏/教育委員会指導室係員・藤岡伸治氏
【第61回教育委員会対象セミナー・大阪:2019年10月25日】
教育家庭新聞 教育マルチメディア号 2019年12月2日号掲載