Microsoft認定 イノベーターで遠隔授業やプログラミング教育、協働学習、反転学習などで積極的にICTを活用している岩田智文教諭(江南市立西部中学校)。江南市の教員を対象にした講師なども務めている。現在中学校3年理科を担当しており「くらべるムービー」(大日本図書)を活用して4年目になる。その活用方法やメリットについて聞いた。
岩田教諭は「理科において『比べる』という視点は重要。実験などで変化した事象を比較する、過去と比較することは科学的なものの考え方を身に付けるうえで大事。その大事な、科学的なものの考え方を育成する上で『くらべるムービー』は理にかなっていると感じ、活用したいと考えた」と語る。「くらべるムービー」により、「条件を変えた同じ実験の結果を比較」「実験の前と後の変化を比較」を行っている。動画の再生・重ね合わせもできるので、微妙な変化を比べやすい点もメリットだ。ストロボ写真も作成もでき、時間的変化を見いだしやすい。
中学3年生理科で活用して4年目で、毎年「物体の運動」の単元やエネルギーの単元で比較、発表活動につなげている。物体の運動や運動エネルギーと位置エネルギーの単元では物体を落とす高さを変えて、衝突した重りの動く量の変化を比較。「当初は目で見てもわかる大きな変化について比べていたが、ICTならではの機能を活かせていないと感じ、最近は、時間をかけてゆっくり変化していく現象について、実験前後を比較することが多い」という。
例えば電気分解では、銅が次第に析出されて、水溶液の濃度が薄くなっていく。実験して観察するだけでは気付きにくいが「くらべるムービー」で「塩化銅水溶液の電気分解を、電圧をかける前とかけ切った後を比べる」「イオンの移動実験で、電圧をかける前とかけた後を比べる」と前後の変化が大変わかりやすいという。
このほか植物の葉の形を比べたり、遺伝の学習で、お互いの耳の形を比べたりするなど、活用シーンが増えている。
体育科でも活用。器械体操などの時に教員のお手本ムービーと自分たちの試技ムービーを比較して、改善点を見つけたりしている。
学習のまとめでは協働学習支援ソフト「ラグーン」(スズキ教育ソフト)を活用。実験や観察結果を各班でまとめ、学級内で共有している。実験結果を色別でまとめたり、項目別に並び替えて実験データを共有したり協働でまとめたりしている。
教育家庭新聞 教育マルチメディア号 2018年11月5日号掲載