今年度第1回(通算第49回)全国教育委員会セミナーが7月5日、東京で開催され、東京都内の教育委員会や学校が導入事例や予算確保などについて報告した
新宿区立四谷小学校の研究の取組について、石井正広校長、主幹教諭木月康二氏、研究主任菊池めぐみ氏が発表した。
新宿区では教育の情報化を目指し、研究を進める視点として、次の5つの柱を設定している。①児童の主体的な学びを支える課題解決型を土台にした課題設定と振り返り、②ICTを活用した効果的な授業の検討、③主体的・対話的で深い学びを支える「思考ツール」等の活用、④研究教科を中心としたカリキュラム・マネジメントの確立、⑤小学校におけるプログラミング教育の実践。
新宿区は、平成21年から23年にかけて区立小・中学校・特別支援学校に整備したICT機器を昨年夏に一斉に更新した。四谷小学校(児童数477名、14学級)にはタブレットPC80台(教員用20台、生徒用60台)、全教室にプロジェクター(電子黒板機能付き、左右可動式)や4K書画カメラ、無線LANも完備。電子黒板機能が使いやすいようにホワイトボードが採用され、校務支援システムも整備されている。
平成30年度は「自ら考え、他者とかかわり、学びを深める児童の育成-情報活用能力を発揮できるICT環境-」を主題とし、研究内容を2つの柱に分けて進めている。
1点目は、情報活用能力の整理。2点目は、学習そのものをICTの効果的な活用に着目しながら改善していくこと。この2つを効果的に進めるために、ICTスキルを効果的に習得する学習やプログラミング学習のためにアイタイムという時間を設置し、系統的な指導計画の作成を進めている。
ツールとして、スカイメニュークラス、ミライシード、スクラッチの3点を主に活用。
スカイメニュークラスでは、カメラ、発表ノート、動画比較などの機能を活用。撮影した動画で体育の実技などを比較。発表ノートは、教員がワークシートを児童に配布し、子供が書いたノートを回収。児童の思考を深めるツールとして活用している。
ミライシードでは、友達の考えをつなげる学習を展開。学級活動で話し合いカードを送り合って共有したり、児童が撮影したものを、タブレット上で共有。社会科では、あらかじめ教員に児童が調べた中から選んだ数枚のスライドを送っておき、発表時にはその資料を提示して調べたことを発表。考えを共有している。
昨年度のプログラミング学習では、第4学年「日本の音楽に親しもう」、第6学年「プログラミングで『たからばこ』を見つける」で実践。パワーポイントでスライドを作成して情報を視覚化して対話につなげる、ワークシートを配布して自分の考えを書かせ、改良点を友達と共有するなど対話的で深い学びに向けて工夫した。
今年度のプログラミング学習では、1・2学年「ルビィのぼうけん」、3・4学年「日本の音楽に親しもう」、第5学年「正多角形と円」、第6学年「たからばこを見つける」を中心に実践する予定。
10月17日には区教育課題研究校として、全学級で授業公開を行う。
【講師】新宿区立四谷小学校校長・石井正広氏、主幹教諭・木月康二氏、研究主任・菊池めぐみ氏
【第49回教育委員会対象セミナー・東京:2018年7月5日】
教育家庭新聞 教育マルチメディア号 2018年8月6日号掲載