2月2日、福岡市のパピヨン24ガスホールで第46回教育委員会対象セミナーが開催された。また2月15日、名古屋市の名古屋国際センターで第47回教育委員会対象セミナーが開催された。各講演の内容を紹介する。次回の第48回教育委員会対象セミナーは、3月24日に金沢市の金沢商工会議所で開催される。
小学校のプログラミング教育は平成32年度から完全実施となる。大府市立東山小学校では平成30年度からの先行実施に向けて、大府市からプログラミング教育推進校の委嘱を受け、平成29年9月から実践を開始している。総合的な学習の時間や学級活動でプログラミングリテラシーを身に付け、教科の学習でプログラミング教育を取り入れている。平成29年度は、1・2・3・5年生は3時間、4年生は2時間、6年生は5時間のプログラミングの時間を設けた。
教務主任の有賀美智留教諭は、東山小学校がプログラミング教育を進める上での基本的な方針として、次の4点を挙げる。①ICT支援員と教務主任による学習計画の作成とリテラシーの指導、②担任による教科学習としてのプログラミング教育の実践、③ビスケットやアルゴロジック、スクラッチを活用した段階的な指導、④アクティブ・ラーニング(A・L)の視点に立ったプログラミング教育の実践。
教科でプログラミング学習を行う際には、ビスケット、アルゴロジック、スクラッチなどのソフトを使用。ICT支援員の井村梨沙氏によると、スクラッチでは制御やコスチュームなど難しい言葉が出てくるため、アルゴロジックやビスケットなど低学年の児童も受け入れやすいソフトを併せて使用。児童の発達段階・成長段階に応じたプログラミング的思考の育成につなげた。
プログラミング教育は、A・Lの視点で行っている。有賀教諭は「児童の興味・関心を刺激する問題、やってみたいと思える課題を提示することで、児童は与えられた課題に対して主体的に考え、分からないことは友達と話し合い、課題解決に向けて取り組んでいく」と語る。
6年生はスクラッチでプログラミングの基礎的リテラシーを習得した後、算数「速さと距離」の学習でスクラッチを使用してプログラミング的思考の育成を図り、走行ロボット「オリー」をプログラミングして走らせた。
1年生はプログラミングソフトのビスケットを使って絵を描き、絵を動かすことでプログラミングリテラシーを習得。児童は円を動かしながら友達と見せ合い、より複雑な動きをしてみるなど積極的に学習に取り組んだ。
通常の授業では学習することをあきらめていた児童が、プログラミングの課題に対しては積極的に取り組み、理解しようと努力する。間違えた時点であきらめていた児童が正答を求めて深く考え、試行錯誤する。分からない時は周りの児童と協力して教え合い学び合いながら解決を目指そうとするなどの変化が見られた。
教科の中でプログラミング教育を行う場合は、プログラミングのリテラシーの習得、プログラミング的思考、算数の知識を同時に身に付けるのではなく、切り離して考える必要がある。
キーボード入力のスキル不足解消のため、今後はPC教室以外にタブレット端末を常設した教室を用意するなどして、休み時間にも児童がキーボード入力に慣れ親しむ機会を増やしたい考えだ。
【講師】愛知県大府市立東山小学校・有賀美智留教諭
【第47回教育委員会対象セミナー・名古屋:2018年2月15日】
教育家庭新聞 教育マルチメディア号 2018年3月5日号掲載