教育委員会対象セミナー・大阪 ICT機器の整備計画/校務の情報化
第34回教育委員会対象セミナーを10月28日、大阪・新梅田研修センターで開催、16道府県から66名が参加した。今後は12月7日に東京・KFCホールで、1月25日に福岡・天神クリスタルビルで開催する。セミナー日程は教育家庭新聞Web(www.kknews.co.jp)へ
箕面市教育委員会 具田利男教育長 |
大阪府箕面市では「当たり前に無造作に」ICT機器を使うことを目指していると具田教育長は語る。特別なツールとして情報端末を使うのではなく、必要な時に取り出して、当たり前にデジタルを使えることが理想。そのために、子供たちに1人1台の情報端末配備を目標に取り組んでいる。
箕面市はこれまでにフューチャースクール推進事業、ICT絆プロジェクト、ICT街づくり推進事業、ドリームスクールイノベーション実証事業、先導的教育システム実証事業等、国の事業を活用して取り組み、現在は市内小学校1校の4年生以上に1人1台配布や、中学校1校、小中一貫校1校の各学年に配布するなど、学習者用情報端末を整備・活用している。市予算で、全教職員に1人1台の校務用PC、全小中学校の全普通教室に電子黒板、実物投影機、無線APを整備済みだ。
思考・判断・表現力情報端末活用し育む
同市の子供たちの学力面の課題は、自分の考えを書く力、学習したことを生活で活用する力、自分の考えや意見を説明したり発表したりする力など。これらを、情報端末などICTを活用し、思考・判断・表現力を育む授業展開により向上させる考えだ。
小学校のモデル校では1年生からモジュールによる英語教育を毎日実施。電子黒板が小学校における外国語活動の展開を大きくサポートしている。さらに、小中一貫校2校とニュージーランド・ハット市の学校2校と、Skypeを利用したリアルタイム国際交流を行っている。オーストラリアと日本の時差は3時間で、1日の授業時間が重なり合う。相互に大型画面を廊下などに設置して、「Nice to meet you!」「See you」と挨拶やコミュニケーションすることで自然な交流の機会を提供。互いの教員派遣にも発展している。
校務支援システムも導入。職員室の壁には大型ディスプレイ2台が横並びに設置され、校内・校外行事や教員の出欠状況、職員会議の予定や必要資料、過去資料を把握・閲覧できる。学校外からもスマートフォンなどで確認できる。「従来のように紙の資料を配る必要がなくなり、中身の議論に時間を使うことができる、校務が非常にスピーディになった」と語る。
箕面小学校では教室後方に設置した学習者用端末の保管ボックスには鍵をかけず、休み時間や昼など、必要な時に子供たちが自由に取り出して活用している。
現在、同校では学習系ネットワークと校務系ネットワークのセキュアな切り分けを実証研究中で、校務系ネットワークではセキュリティUSBを使用。USBキーを挿すとインターネット回線が切断、情報は暗号化され、その情報の登録先はUSBに限定される仕組みで、教員はデータを持ち帰ることができる。
フルクラウドも実証実験中で、その利便性、コスト削減、安全性などを検証している。
「ICT機器整備にかかるコストをできるだけ平準化し、児童・生徒に陳腐化しないICT機器を使用させることを目指し、1人1台の環境を1台につき年間1万円で導入できるよう検討を進めている。なお、市の試算では地方交付税によるICT関係の財源措置額は約1億3千万円で、年間1万円なら納まる規模」と語った。
【講師】箕面市教育委員会・具田利男教育長
【第34回教育委員会対象セミナー・大阪:2016年10月28日】
【2016年12月5日】
1、IPU環太平洋大学・梶本佳照教授/2、高槻市教育委員会・小杉哲男副主幹
3、立命館中学校・高等学校メディア教育部 清田祥一郎部長/4、堺市教育委員会 浦嘉太郎主任指導主事
5、大阪市立阿倍野小学校・別所英文教諭/6、箕面市教育委員会・具田利男教育長
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