教育委員会対象セミナー・福岡 ICT機器の整備計画/校務の情報化
佐賀県武雄市立 武内小学校市教育監 代田昭久校長 |
武雄市では平成26年度、市立小学校の全ての児童に7インチのタブレット端末を整備した。平成27年度は中学校の全生徒に10インチのタブレット端末(Android)を整備する予定だ。
東京の公立中学校で校長を務めていた中で、できる子を伸ばしているか? うつむく子供をそのままにしていないか? 孤独を感じさせていないか? と感じることがあった。OECDの孤独度に関する調査結果では、日本の子供たちは3割近くが「孤独を感じる」と答えており、先進国では突出している。
また、学力分布の2極化が見られ、できる子とうつむいている子が同じ教室で学ぶことにも課題があると考えた。
これらに対応するためにも、タブレット端末を整備し、武雄式反転授業「スマイル学習」を導入した。
子供たちの孤独感が最も低いのはオランダだ。異学年、習熟度別を取り入れ、一斉授業を廃止する方向で進んでいる。
視察した「スティーブジョブズスクール」では、1人1台のiPadを活用していた。一斉授業は行わず、子供同士の教え合いや学び合いが中心。1人で行う知識習得はタブレット端末を活用。ドリルを解いた結果や個々の習熟度は教師が把握できるようなシステムを活用していた。全体をそのまま倣うことは難しいが、個々の良いところは取り入れたいと考えた。
「スマイル学習」は、3年生以上の算数、4年生以上の理科で行っている。さらに単元の中でも予習により話し合い活動が活性化できるか所に絞っている。
子供はタブレット端末を持ち帰り、3〜6分程度の動画コンテンツを視聴、デジタル小テスト、アンケートを行う。紙のワークシートにも取り組む。手書きの作業も重要だ。
小テスト結果や授業の理解度は、教師の長年のカンではなくデジタルで把握。デジタルの良さは6年間ずっと記録として残ること。これを学校内で共有していきたい。
スマイル学習の目的は「児童・生徒がより意欲的に授業に臨める」「教員が、学習者の実態を正確に把握して授業に臨める」「授業で協働的な問題解決能力を育成する」の3つ。この3つの目的を市内の教員すべてに理解・浸透させていく。アンケート結果や子供の変化を示して働きかけていきたい。
スマイル学習用に作成した教材・動画コンテンツはクラウド上に蓄積している。「教材を活用させてほしい」という問い合わせもあり、来年度以降は他の自治体や学校などもコンテンツを活用できるような形にしたい。ここに至るまで、企業には無償で協力してもらっていた。来年度以降は費用を支払う予定で、現場から子供たちの学びを変えていく取り組みを広げていく。(講師=佐賀県武雄市立武内小学校・市教育監 代田昭久校長)
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【2015年3月2日】
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