【ICT活用指導力を育む】国立大学附属小・中学校のICT環境

端末386台、AP20台を設置ー北海道教育大学附属函館中学校

校務でも端末活用 持ち帰り学習も

電子学級便りや反転学習を開始

北海道教育大学附属函館中学校同校は平成25年度に1人1台環境を整備した。整備内容は、プロジェクター4台、65インチテレビ2台、タブレット端末はAndroid370台(全生徒+予備)、iPad4台、Windows8を12台。アクセスポイント(以下、AP)は20台設置。いつでも校内のどこからでも端末が使えるようにした。

現在は、電子学級便りの発行や、授業評価アンケート、生徒の出欠・健康管理への試行、プリントの電子的配布、電子辞書のタブレットへの格納、電子教科書の授業活用などに取り組む。平成25年度から、情報モラル教育の進展に応じて8月に3年生、12月に2年生、2月に1年生が家庭への持ち帰りを開始。ネットに接続しなくても活用できる国語辞典や英和辞典などの利用や反転学習教材の視聴などに取り組む。家庭でのネット接続については、家庭での責任の元、希望する場合には対応も可能だ。

生徒の自主的な活用が教員の授業活用を促進

平成24年1月、学校にDocomo社から端末45台が貸し出された際、職員室では賛成、反対両意見に大きく分かれたという。議論は収拾がつかず、「タブレット端末等の教育利用について保護者に意見を聞く」ことになった。その結果、保護者300世帯の回答中、賛成280世帯、反対20世帯となり、端末の教育利用の研究がスタート。

しかし当初は、数人の教師が月に何度か授業で使う程度。大きな転換となったのが、無線LAN環境の導入と学校祭の生徒活動での利用だった。

無線LANにより動画などデータ量の多いものでも校内で見られるようになり、学校祭のダンスの練習などで生徒が放課後にタブレット端末を積極的に使うようになった。それをきっかけに教員も授業活用に積極的になり、現在は多くの授業や活動でごく自然に道具としてタブレット端末を活用しているという。

今後の取り組みとしては、通知表・行動評定のタブレット端末による配布も予定している。

無線LAN環境は一か所で集中制御

同校の無線LAN環境は一か所で集中制御ができるソフトウェアを採用。これにより近くのAPが干渉しないように自動的に周波数が調整される。函館は私立高校がたくさんある地域であることから入試の合格発表の日には校内のAPの機能を一時的に停止するなど、一元管理できる機能は管理の上で重要だ。ウィルス感染のリスクやアプリの無断インストールなどについてはモバイルセキュリティサーバーの導入により対応した。

PC室にiPad81台 1人1台で協働・探究学習ー新潟大学教育学部附属新潟小学校

同校では教育研究大会が10月31日、11月1日に行われ、タブレット端末を使ったワークショップなども予定されている。

新潟大学教育学部附属新潟小学校
PC室にはAP2台とiPad(カバー付)を整備、積極的に校外学習などでも活用

同校では、総合的な学習の時間で、iPadを1人1台持ち、探究学習を行った。新潟市のバスの再編問題を取り上げ、政策を推進する側と利用者両方に聞き取り調査をし、iPadで意見を分類整理したり、まとめたりする試みだ。

このほか、附属新潟式情報リテラシーの開発、教育実習でのICTを活用した授業指導案作成と実施(一部クラス)にも取り組む。今後も附属学校の役割として、地域の教員に、ICTを使ったモデル授業を公開、これからの学力を見据えた先進的な研究を行う。

現在のICT環境は以下。今後も、タブレットと電子黒板を毎年増やしていく予定。

▽プロジェクター=5台(普通教室、PC室)
▽電子黒板=2台(普通教室、PC室)
▽タブレット端末=iPad81台(PC室)
▽無線LAN環境=AP13台(2教室につき各1台。PC室に2台)
▽ICT支援員=なし 
▽実物投影機=3台(理科室、普通教室)

新1年生から端末を全員購入 全普通教室にプロジェクターー千葉大学教育学部附属中学校

千葉大学教育学部附属中学校では、「平成26年度入学の1年生からタブレット端末全員購入を入学前に確約してもらう」ことを決定し、今年度後期より1学年において「タブレット端末の1人1台活用」に着手する。タブレット端末の購入費は5万円として機種選定は学校が行い、Windows8・1タブレットに決定。

これに加え、職員と生徒貸出用にWindows8・1のタブレットを44台購入する予定だ。

さらに、1学年の全普通教室と特別教室3室に電子黒板機能内蔵のプロジェクターを固定設置して、80インチのマグネットスクリーンを整備。第1学年の全フロアで無線LANが活用できるように、APを各教室2台ずつ設置した。

次年度は2年生フロアを、その翌年には3年生フロアを無線LANが使えるようにし、3年計画で「全校生徒の1人1台端末活用」が稼動する計画だ。

タブレット端末については、今年度後期より本格的に使用を開始する予定で、その成果は来年2月6日に開催される研究発表会「1人1台タブレット端末を使ったICT授業研究会」において、各教科の成果や運用について発表される。

◇ ◇ ◇

■iPad148台整備ー大阪教育大学 附属平野小学校
普通教室の提示環境は固定整備が主流

平成24年度より順次ICT環境を整備。

▽プロジェクター及び電子黒板=6学年18クラスと多目的室に設置。うち10クラスにはAppleTV、理科室2室に電子黒板 
▽無線LAN環境 
▽タブレット端末=児童用118台、教員用30台(iPad) 
▽書画カメラ=各教室に1台

今後、AppleTVの台数を順次追加予定で、環境を強化する予定。

■全普通教室に電子黒板ー京都教育大学附属桃山中学校

平成25〜26年度に設置されたのは、以下。▽プロジェクター=普通教室、特別教室 ▽電子黒板=14台(普通教室12台、その他教室2台) ▽タブレット端末=今後、10台導入を予定 ▽無線LAN環境=社会科教室にAP設置

■端末の追加 予算を計上中ー 福島大学附属中学校

▽プロジェクター=4台(平成20年度から順次)
▽電子黒板=6台(各フロア2台) 
▽タブレット端末=11台(各教科1台+教務1台。平成25年度購入) 
▽無線LAN環境=AP体育館1、特別教室1、普通教室4に平成26年度整備 
▽提示用テレビ=各教室に平成24年度設置 
▽ビデオカメラ=4台

現在、タブレット端末の追加購入と無線LAN環境の強化を大学に予算計上中。

■協働学習でタブレットー福島大学附属小学校

▽プロジェクター=移動用4台 
▽電子黒板=8台(各学年1台、多目的スペース1台、外国語活動室1台)
▽タブレット端末=iPad9台(教員用1台、グループ活動用8台・平成25年度導入)。体育授業での動作確認や社会科での調べ学習の発表などに活用。電子黒板には有線で接続して提示している 
▽無線LAN環境=AP1台(持ち歩いて活用)

■端末405台を活用ー横浜国立大学教育人間科学部附属横浜中学校

フューチャースクール推進事業・学びのイノベーション事業の実証校として、全普通教室に電子黒板と教員用PC、実物投影機、学習者用端末46台(生徒用45台、教師用1台)とその保管庫、無線LANを整備。その後、タブレット端末を全生徒分として追加し、現在は405台以上を配備済み。指導者用デジタル教科書や授業支援システムも活用している。

■端末60台 AP20台ー埼玉大学教育学部附属小学校

平成24年1月〜9月までに順次導入。

▽電子黒板=電子黒板機能付きプロジェクター(固定設置4台/会議室、理科室、家庭科室、音楽室に設置)、同・移動式4台、テレビ型4台
▽タブレット端末=iPad50台・iPadmini10台 
▽無線LAN環境=各学年フロアにAP各2台(計12台)、特別教室、体育館含め計20台程度

【2014年9月1日】

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