【ICT活用指導力を育む】教員養成学部と附属学校の連携を強化

教員養成で学習者用端末いち早く導入 授業力・実践力を育むー和歌山大学教育学部

和歌山大学教育学部附属教育実践総合センターでは、平成23年度より、ICT環境を整備した模擬授業教室を設営。平成24年度からはタブレット端末も整備、いち早く学習者用端末を活用した授業研究に着手している。

和歌山大学教育学部
学生は模擬授業教室でICTを活用した授業ができる

模擬授業教室では、プロジェクターを天井に固定、黒板にはマグネットスクリーンを設置。教員用PC、実物投影機や電子黒板も通常の教室内と同様に利用できる。

これらに加えて一昨年度からはタブレット端末・PCを計30台設置。文部科学省の「教育の情報化ビジョン」にならい、児童生徒がタブレット端末・PCを用いて情報を活用していく授業形態も試行できるようにした。教員養成において個人学習用端末の活用指導力育成に取り組んでいる事例は全国的にも早い取り組みだ。
「学生はスマートフォンとそれほど操作体系の変わらないタブレット端末の活用に抵抗感はないようだ。一方、児童生徒がタブレット端末を個々に活用する場合、情報スキルやモラル面での指導、情報活用能力育成に関する観点や評価方法など格段に配慮すべき要素が多く、この点での指導力向上には時間も労力もかかる」という。

学生の模擬授業は、実物投影機のみを用いた場合、デジタル教材も使う場合、児童生徒にICTを活用させる場合など段階的に実施している。

模擬授業の後、情報教育担当指導主事から直接指導を受ける機会も設けている。同大の豊田充崇准教授は「学生の稚拙な授業力にも関わらず、教員養成における実践的力量向上の取り組みとして、地元の教員や指導主事の方々にも好意的に受け入れられているようだ」と話す。

さらに、平成23年からスタートしている「土曜楽交(がっこう)」の取り組みにより、地域の子供と実際に触れ合う機会も設けている。和歌山市内の小学校4〜6年生が共に学ぶ形態で、年20回程度実施。学生のオリジナル教材を使った授業やタブレット端末を使ったグループ学習、協働的な授業にも取り組んでいる。

「協働的な学びを展開できる教員養成を目的とすると、学部内の講義や演習では限界があることから、この土曜楽交では『子供が主役』の授業をシミュレーションし、教材研究の在り方、スムーズな授業展開のための準備・方法、児童同士の関わらせ方などを検証できる貴重な場」と話す。

初任者研修も高度化 2年目で内容も充実

和歌山大学教育学部と和歌山県教育委員会は、初任者研修の高度化モデル事業(平成25〜26年度)にも取り組む。今年度は、新規初任者教員16名を対象にスタート。

参加者全員がタブレット端末を用いて情報交換や教育実践、成果物の記録を行い、カンファレンス等の発表にも活用していく。研修では、初年度に研修を終えた先輩がメンター的役割を果たし、グループワークの支援を行うなど順調な進捗が見られる。この高度化モデル事業の2年間の成果は、平成28年度設置予定の同大教職大学院との接続も視野に入っている。中間報告=http://www.edu.wakayama-u.ac.jp/shoninsha.html

■無線LAN環境を強化 和歌山大学教育学部附属小

平成22年度までに30教室にプロジェクターと実物投影機、電子黒板1台、無線LAN環境(AP15台)を配備。タブレット端末は平成25年度に30台を配備。今後は無線LAN環境を強化予定。PC室も更新予定。

【2014年9月1日】

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