美濃加茂市は、市内の小中学校のPC教室を廃止し、児童生徒に1人1台のタブレット型PCを配布する取り組みについて語った。
PC教室廃止のきっかけは、その稼働率の低さだった。昨年12月に行った調査では、ある学校のPC教室を使用した時間は週2時間のみ。稼働率にすると6・7%で体育館や音楽室などの稼働率と比べると格段に低い。PCの5年間のリース料を年間授業時数で割ると1校時あたり約3800円。週2回のPC教室の使用では1時間あたり5〜6万円ものコストがかかっている計算だ。そこで、PC教室を廃止し、児童生徒にタブレットPCを配布、普通教室でのPCを使った授業を提案。ここには、ICTを使った授業改革を推進するというねらいもあった。
全教員を対象に行った調査では、88%の教員が多忙感を持つ。負担感のある校務は通知表や指導要録の作成など、PCを使う業務が多い。ICTを校務支援に活用することで、教員の多忙感軽減が期待できると考えた。
タブレットPCを導入する前に確認したのは、「全教室におけるLANケーブルの差込口の有無」、「児童生徒が一斉にアクセスしても問題なく稼働するネットワーク」、「無線LANの安全性」の3点だ。
児童用として1校につきタブレットPC40台、アクセスポイント3台、プリンター1台、保管・移動用カート2台を配備。教師用セットは、タブレットPC6台、アクセスポイント6台、 書画カメラ6台、液晶プロジェクター6台、外付DVDドライブ6台、外付スピーカー6台、マグネット式電子黒板6台を各学年に1セット用意した。
2台の保管・移動用カートに、児童生徒のタブレット型PCや無線LANアクセスポイントなどをすべて格納し、給食用エレベーターを使って教室まで運ぶ。カート格納時には充電される。
これによってPCの稼働率が明らかに変化した。タブレットPCの導入校と、未導入校を比較すると、未導入校の稼働率は6・7%だが、導入校は週13時間・46・7%の稼働率になった。
授業で見せる子どもの姿も変わってきた。次に何が起こるのかとワクワクして授業に集中するようになった。
「『忙しいから、面倒なことにかける時間はない』という教員の思いが、導入における最大の課題。その問題を解決するためには充実したサポート体制が必要」。教育委員会による研修や校内研修、専門業者によるサポートと共に、教育委員会、学校、業者の橋渡しとなるICT支援員の存在が、理想的な教育環境実現への近道となる。
【第10回名古屋開催】
【2013年3月4日】
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