教育委員会対象セミナー報告 名古屋開催

デジタル教科書・教材 自治体クラウドに統合 ― 四日市市教育委員会 指導主事 長田 淳氏

四日市市教育委員会 指導主事 長田 淳氏  四日市市では、市内62校すべての小中学校に電子黒板を導入し、デジタル教科書やデジタル教材を全教科に導入している。

  教員に対しては1人1台のPCを配布しており、ネットワークを通じてデジタル教科書等を利用できるようになっている。

 教室へ足を運ばなくてもすぐに教材研究ができる環境はICT活用を進めるうえで重要だという。さらに図書室では蔵書を管理するPCを配布しており、市一括でデータベース化し、図書のバーコード化、貸出業務等の効率化を図っている。

  その一方、増加するソフトウェアの管理・運用、教育センターサーバの管理・運用などが教員や教育委員会にとって大きな負担となっていた。そこで、教室で使うデジタル教科書・教材は、ASP配信型や校内サーバ配信型へ切り替えた。また、職員室で使うデジタル教科書・教材はサポートも含め自治体クラウドシステムへ順次統合化する。これにより、すべてのデジタル教科書・教材がインターネットを通じて配信されるようになり、教職員用PCのソフトウェアを個々で管理したり、教育センターがサーバを管理・運用する必要がなくなり、経費削減も図られる。

  また、保護者向けメール配信システムや図書室の蔵書管理システムについても、サポートを含め民間に管理・運用を委託するなど、煩雑となっていたシステム等の集約が図られている。

  教育情報環境整備の目指すゴールは、整備ではない。「教職員研修の充実により、教員のICT活用能力と授業力、子どもの学力が向上すること。目指す授業は思考力、判断力、表現力を高める授業」だとする。

  平成21年度から22年度は、各学校に年3回ずつの出前研修を行い、ICTの活用方法や模擬授業などを展開。平成23〜24年度では、ICTを効果的に活用して授業改善を図り、子どもの学びをどう変えるのかという視点で研修を進めた。

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  平成24年度に実施した「教員のICTに関わる実態調査」では、ICTの活用時間の伸びが明らかになっただけでなく、多くの教員が日頃から工夫してICTを活用していることが分かった。

  ICTを効果的に活用し、子どもたちの学びが高まる事例として、中学校の美術の授業を紹介。ダ・ヴィンチが描いた「最後の晩餐」が教材で、授業では「最後の晩餐」のどこにキリストを裏切ったユダが描かれているか生徒に探させた。始めに「最後の晩餐」のコピーが生徒に渡され、そこからユダを見つけようとするが「小さくてわからない」という声が上がる。次に、「電子黒板で画像を拡大したい」という声が上がり、生徒が電子黒板の前に集まる。絵の細かい部分からユダの証拠となるものを見つけ出そうと真剣な表情で画材と向き合っていたという。

  この授業では、生徒の興味・関心を引き出した上で、電子黒板をタイミング良く活用。ICTを活用しながら情報を収集し、問題解決にまで結びつけた。授業の最後に教室いっぱいに広がる原寸大の「最後の晩餐」のレプリカを持ち込むと、生徒から驚きの声が上がるなど、感動を生み出す良い授業例となっている。

  「四日市市では子どもが学び合う姿を大事にしてきた。子どもの学び合いとICT活用は相反するものではなく、共通するもの。ICTの授業活用で、子どもたちはお互いにコミュニケーションを図り、問題解決に向けて取り組むことにつながると先生方に気付いてもらいたい」と語る。

【第10回名古屋開催】

 

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【2013年3月4日】

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