上位も下位も伸びる授業を―関東甲信越英語教育学会

 関東甲信越英語教育学会の春季研修会が3月18日、お茶の水大学附属高等学校で行われ、小中高等学校の実践報告や講演が行われた。

  東京都港区立赤坂中学校の北原延晃教諭は、英検上位級取得者を多数輩出、下位の生徒も伸ばし生徒の会話能力を高める指導法のポイントを語った。投影されたスキットビデオから、同校の生徒たちの発音の良さと運用力の高さが分かる。

  北原教諭は、「下位の生徒をおきざりにしない英語教育の実践」を念頭に、生徒たちが英語習得に意欲を持ち自発的に家庭学習と連動する学習システムを取り入れている。1年生は各ページ50回音読するなどだ。

高校の授業で 下位も伸びる

  北原教諭は中学卒業後の生徒追跡調査を10年ごとに実施し、高校在籍中の成績を把握することで、指導方法の改善に活かしている。それによると、中学3年時の英語の評定が2以下だった生徒の多くが、高校では学年トップ、クラス1位、3位など力を伸ばしており、発音の良さをほめられる生徒も多い。指導方法の正しさが実証されている。

単語テストなしで 表現意欲を高める

  中学1年次には、英会話をしている先輩のビデオを見せて、「ここまでできるようになろう」と具体的なゴールを示す。

  発音指導では、授業の冒頭、ジェスチャー付きで英語の歌を歌い、正確な発音を身につけさせる。

  また、リスニング、スピーキング、リーディングを重視し、授業中に和訳、単語テストは行わない。表現意欲を高めることで生徒が自主的に語彙や会話力を増やしていくよう仕向けている。

  年間にかなりの数のスキットやスピーチを設定している。中学3年5月に行った2人1組での「道案内」スキットでは、単に「3つ目の角を左に曲がると○○があります」といった定型のものではなく、Word数が多い。海外からの修学旅行生から道を聞かれたとき、街中で道を尋ねるときなど状況をペアそれぞれで自由に設定してやりとりする。

  7月には京都・奈良への修学旅行の思い出を1人ずつALT相手に2分間で紹介した。

英文レターが 学年末テスト

  3年の3学期末テストは、50分間をフルに使ってのライティングテスト。英訳や和訳ではなく、内容は自由で、3年間の思い出を織り交ぜながら「北原先生への手紙」を書く。生徒の半数以上が20文以上の英文を書けるようになっており、約1割は40文以上の長文を書いていると言う。

  こうした実践の結果を英検の取得状況で測ると、北原教諭が平成22年度に3年生を担任した当時の3年生在籍者34名中1名が準1級、3名が2級、5名が準2級を取得。3級以上取得者は27名(82%)という成果を上げている。

◇   ◇

  東京都千代田区立九段中等教育学校の明石達彦教諭は、音声コミュニケーションを重視し、全クラス共通指導案で実施している同校英語教育の特色について話した。

  同校では、1年生から起立して大きな声で教科書を音読する習慣を確立している。

  授業の冒頭、前時の復習として行っているオーラルサマリー(CDを聞いて、本文のキーワードを抽出し、サマリーを作る)の指導法、センテンス・単語暗唱テストなどを紹介した。

 


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【2012年5月7日号】

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