次年度に向けて半年先、あるいは1年先の着地点を思い描きながら4月をスタートさせるためには、年度末、校務多忙な中であるが総括会議の中味をいかに充実させるかで左右されると考えている。
上半期の中で行われる中間総括とは意味が違い、全ての教育活動が全体でスキャンされ現状と課題が共有されると同時に、1年間の教育実践の積み上げを確認し、今後の課題解決に向けての道筋が示されなければならず、決してなおざりな会議でお茶を濁してはならない。
総括会議に対する教職員の意識高低は、校長が明示する総括イメージが大きく影響していると実感している。校内の各リーダーへの根回しと、総括に向けての会議日程や内容を審議する運営委員会での方向付けが成否の鍵を握る。
「ものさし」は4つ
筆者が校長をしていた時には、総括会議に先立ち下図のようなイメージを示し、これらの4つの「ものさし」を当てながらの文書作成を各係に指示していた。
1年間の取り組みを全ての校務分掌において、学校教育目標に則した「ものさし(筆者の場合は図に示す4つの視点を重視)」を念頭に置きながら、意見をまとめ、成果と課題を明らかにすることで、チームマネジメントへの具体把握にも役立ち、次年度に向けた学校づくりへの展望が開けてくる。
およそ教育に関わらず、企業を含めあらゆる組織体において何らかの形で改革や成功を収める必要条件に不可欠な要素は、ベクトルの向きを一致させることである。一人ひとりがいくら頑張っても、ベクトルの向きがバラバラでは大きな力は生まれない。全員が同じ方向を向くように、校長は努めなければならない。
組織と個人を成長させる環境づくり
教育現場において、組織と個人を成長させる環境作りは、校長の役割の一つであろう。
学校づくりのビジョンを示し教職員のベクトルの向きを一致させる工夫が随所に求められるわけであるが、総括会議の中にもその端緒が隠れているように思えてならない。
最後に、1年間の連載を通して、校長として必要と思われる要素をテーマ毎に伝えてきた。不十分であったと思うが学校づくりのヒントになれば幸いである。
本企画を立案いただき、広く発信できる機会をいただいた編集部に感謝申し上げる。
前田 勉
前:大阪府高槻市校長会会長
現:大阪青凌中学校・高等学校入試広報部
【2014年3月17日号】
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