連載:管理職と学校経営 校内で上手く関わる術(すべ)

次年度へ向けた準備(上)―大阪青凌中学校・高等学校入試広報部 前田勉

教育は「Plan」よりも「See」を優先

前田 勉 校長  2月、3月と、人事や進路指導、卒業式の準備、総括と次年度に向けてのビジョン構築など、教育活動の総和と位置づけられる重要な案件が連続する。とりわけ、次年度に向けたビジョン構築は、学校づくりの根幹に関わる重大なもの。

  「一夜づくり」とは間に合わせにとりあえず何かつくることを言うのだが、こと学校づくりにおいては、決して用いてはならない禁じ手だ。教育は教育目標を達成するため意図的・計画的になされるものである。その意味から次年度に向けた総括会議を形骸化することなく、現状課題を明確にしつつ、一年間の教育実践が財産として積み上がる取り組みとしたい。

インベインとエンプティの概念

  校長時代には教職員に対して2つの提唱をし、総括に活かしてきた。一つは「インベインとエンプティ」の概念。誠意を持って何回も指導しても、子どもたちは簡単に裏切り課題ある行動を繰り返すことが多い。そんな日常に悩む教員に対して時折、こう助言をする。

  「雪国では屋根に降り積もる雪を下ろさないと、その重みで家が潰れてしまう。そのためせっせと雪下ろしをする。だが、翌日には夜間に降り積もった雪でせっかくの苦労が台無しとなってしまう。しかし、やり続けないといけない。無駄なように見えても決して無駄でないかけがえのない営みだ。『インベイン』とは、そして何もならなかったというような意味で、決して『エンプティ』であってはならない」と。

課題の解決策はチームを重視

  2つ目は「チームマネジメント」の提唱。多くの学校では経験則や慣例により、各会議で論議し、課題を明確にし、次年度や次のステップに生かそうとするわけだが、このシステムでは、課題に対して事実をしっかりと「見る」ことを重視する。解決に向け、校務分掌でのチームワークに比重を置き活性化を図る。課題解決ができないのは、チームワークが構築されず、知恵とスキルが生かされていないと考えさせる。

(1)See(見る)
(2)Think(根源)
(5)Check
(4) Do(実施)
(3) Plan(計画)

  産業界では、よく似たマネジメントにplan‐do‐Seeやplan‐Do‐Check‐Action等があるが、学校現場は子どもたちの人格形成の場であるため、planよりSeeを優先します。Ckeckは、どの段階でも機能させておくことがポイントだ。

  そして、実態や現状から課題を設定し、指導計画を立案するが、その間にThink(根源)を重視する。根源は「私たち教職員の姿勢にある」。子どもたちにつけさせたい力を、なぜ・どんな方法で・いつまでに・そのことによってどう変わるか等をThinkする。

科学的手法でマネジメントを

  校長は経験則や慣例に加えて、科学的な手法等を取り入れたマネジメントが求められるのだ。

前田 勉
前:大阪府高槻市校長会会長  現:大阪青凌中学校・高等学校入試広報部

【2014年2月17日号】

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