児童・生徒や保護者が教員に期待し求めているのは、「教科指導の専門性」「集団の中の公平性」「大人としての安定性」と考えている。
とりわけ、専門職として教員免許に裏付けされている「教科の専門性」については日々研鑽を積むとともに、わかりやすく教えるという指導力のスキルアップが求められている。
授業づくりを中心とした学校改革
校長として授業づくりを中心とした学校改革を進める時の具体例を、2つ示し提言としたい。
〈全ての教員による研究授業の公開〉
実施には発想の転換や工夫が必要だが、筆者が校長時代には毎年、様々な形態での授業研究を全員で行ってきたので、やろうと思えばできる。経験則に偏ったりマンネリ化を防ぐためには、外部研究者の招聘は有効な手段である。
〈授業づくりや学力向上に関しての研究指定校委嘱を積極的に受け入れる〉
多忙感の中、職員室の雰囲気としては忌避する傾向にあるが、取り組みの過程や結果において大きな財産を学校に蓄積することができる。
まさに、校長としてリーダシップを発揮する場面であろう。研究組織を確立し、研究主題及び研究内容を設定して取り組みをスタートさせる。本気で授業を変えよう、子どもたちが学びに期待感を感じる学校を創る、という実感が教職員の中に芽生える演出も時には必要だ。
4つのステップで 本気の授業創り
研究の視点は4つ。
(1)徹底した教材研究と教材の価値の明確化‐児童生徒の学習実態をしっかりと把握することを前提として、全ての教科で教材の持つ価値は何かを分析する。単元ごとのねらい、興味関心を引きつけられるか、展開とともに学びが成立するか等を明確にする必要がある。
(2)授業目的の明確化‐授業のねらいをはっきりとさせる。教師の独りよがりでなく、学びの実態がどのようになれば目標が達成されるのかを想定しておくこと。首を傾げたくなるような授業の大半は、目標が非常に曖昧な場合が多い。
(3)指導方法の明確化‐目標達成の手法をじっくりと考え、教材や学習形態、あるいは板書、発問などを論議しながら工夫する。教室の実態を理解し、自らのアイデアを盛り込み、学びが成立するプロセスを創造する作業こそが、教育のプロとしての仕事と自負できる職場環境が求められる。
(4)「主たる発問」と「板書の基本計画」の明確化‐軽視されがちな、板書や発問の計画も授業づくりの大切な基礎基本。教科内や学年での模擬授業を行い意見交流することで、より具体的なアイデアが膨らむ。
「学力」は「判断力」につながることは前号で述べた。教職員が本気になって授業を創り、子どもたちが真剣に取り組む。その結果として子どもたちに成長が見られ、学校全体が落ち着いてくる。生徒指導も視野に入れた本来の「学校づくり」と考える。
前田 勉
前:大阪府高槻市校長会会長
現:大阪青凌中学校・高等学校入試広報部
【2013年11月18日号】
関連記事
【連載】管理職と学校経営 校内で上手く関わる術―管理職と健康教育(130819〜130916)
【連載】管理職と学校経営 校内で上手く関わる術―校内の課題と向き合う(130617〜130715)