【対談】問題解決から貢献へ―下村博文 文部科学大臣×平野啓子氏

防災教育で問題解決のカを・・平野
大臣:世界に目を向ける生徒たち

 平野 何かの課題に出合った時、問題を解決できる力を身につけることが大事だと以前から言われてきました。この防災教育をとおして、そのような力を身につけられたらと思います。教育にはやるべき課題が多いことは十分承知しておりますが、とりわけ防災教育は大きな位置づけだと考えたいですね。

 大臣 もちろんその通りです。東北の子どもたち、特に福島では地震・津波だけでなく原発事故や風評被害など本当に困難な中で、それでも負けずに頑張ろうという子どもたちの生きるエネルギーや、こういう局面だからこそしっかり生きなくてはいけないという、ある意味で"魂の覚醒"のような感覚を感じるような子どもにたくさん会いました。

 今年1月、いわき市に行った時、一緒に給食を食べた生徒会の子どもたちが10人ほどで、そのうち半分位の子どもたちが、将来は世界のために活躍したいと言っていました。

 世界のために貢献できる人間になりたいと、その発想がすごい。それはある意味で人類に対する恩返しだと。私の中学生ごろを振り返ってみても、世界という発想はなかった。

 平野 震災の時に世界中から支援の手を差しのべられた、そのことへの感謝の気持ちも多分に影響しているのでしょうか。

 大臣 ある女子生徒は、医者になって恩返しをしたいと具体的に目標を持っていました。あの極限状態にあったいわき市の子がそう言った、そこに魂の覚醒を感じました。

 平野 今日は、本当に素晴らしいお話を聞かせて頂きました。ご多忙のところをありがとうございました。

【2013年8月19日号】

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