連載:管理職と学校経営 校内で上手く関わる術(すべ)

校内の信頼を築く(下)―大阪青凌中学校・高等学校入試広報部 前田勉

「日常」と「非日常」の使い分けが重要

前田 勉 校長 校長は、学校の管理責任者として校務全般の掌理だけでなく、学校の主人公である児童生徒からの信頼を得る努力が不可欠である。

触れ合いはチャンス

  職務の性質上、子どもたちと触れ合う機会の少ない立場としては、全校生を前にした校長講話はもちろんのこと、校内巡回時や朝のあいさつ運動等、校内で触れ合うことのできる様々な場面は、絶好のチャンスとして大切にしなければならない。筆者は小学校の教頭も経験したが、中学校以上に「子どもと保護者の心をつかむ」ことが大きなキーワードであった。

児童生徒観は関係を構築するファクター

  校長に限らず教職員の大切な視点の一つに、「子どもたちをどのように見るか(児童生徒観)」は、信頼関係構築の大きなファクターと言える。

  また、学校生活の充実を考える時も、職員が児童生徒をどのような存在としてとらえているかという児童生徒観は、自立した集団育成に影響を与える重要な要素であると考えている。

上から目線は 傲慢な指導に

  校長講話や授業において、「子どもだから何事もそんなに深く物事を考えることはできない」という観点に立つと、未熟な集団なので教え込もうと上から目線になりがちだ。そうなることで、学校生活でのあらゆる指導で傲慢さが見え隠れしながら、子どもたちに考えさせることをせず、直球で教え込むことが効果的だと考え、「(単なる)頑張れ」と「強制」の多い指導になっていくように感じている。

  他方、児童生徒は「知的好奇心を持ち、感性豊かで多くの可能性を秘めている」という児童生徒観に立てば、前述とは異なり子どもたちの有能さを前提にして、その知的好奇心を刺激しながら、主体的に考えさせる工夫のある指導が必要となってくる。

  具体的な指導例は、紙面スペースの関係上割愛するが、効果的なのは「日常」と「非日常(※)」を上手く使い分けること。学校の年間行事は日常的な行事と、非日常的な行事が意図的・計画的に織り込まれている。校長講話においても、授業や生徒指導の場面でも同じことが言えるのではないだろうか。

  世代交代が進む今、望ましい支援(グッドプラクティス=良い例)が展開される学校は若い教職員が育つための最適のモデルとなる。

  子どもたちが生きていく上で「背骨」となる部分に、いかに関われるかが「教育の夢とロマン」である。校長はそんな雰囲気を創り出すくらいの意気込みが必要だ。

※非日常とは、場面・場所だけでなく、本物教材や人、映像や文化・芸術など口頭説明以外で明示できるものを意味している

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前田 勉
前:大阪府高槻市校長会会長  現:大阪青凌中学校・高等学校入試広報部

【2013年5月20日号】

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