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航空機利用で新鮮な3日間

「長崎遊学券」を使い市内をくまなく見学〜長崎市自主行動

▼ 円卓を囲みながら現地の食を楽しむ

グラバー園は多くの生徒が訪問【5月24日(木)】

【5月25日(金)】
  朝からまさに文字通り「土砂降り」の雨。朝食会場の窓から見える阿蘇の山々は曇天に隠れ、生徒たちはがっくりと肩を落とす。しかし午後からは天気が回復するというニュースを耳にし、晴れを祈りながら宿舎を後にした。

2日目の目的地は、「長崎」。バスは、高速道路で福岡県、佐賀県を通過して長崎市内へと入る。約3時間の移動時間は、車窓から茶畑や棚田などが見え、バスガイドさんが「阿蘇の恋唄」「おてもやん」といった熊本に古くから伝わる民謡を歌って聞かせ、熊本を名残惜しみながら長崎を目指す。

長崎の内海「大村湾」が見えてきた頃には天気も回復し、生徒たちの気持ちも盛り上り始める。車内では、各班にカメラと携帯電話、長崎遊学券が渡され、自主行動に備える。「長崎遊学券」は、小・中・高校生用があり、主要観光施設の入場券や施設割引券がついた修学旅行生のためのガイドブック。訪問地はグラバー園、出島、孔子廟・中国歴代博物館、長崎歴史文化博物館などが多く、新地中華街には多くの生徒が昼食に訪れていた。

スコットランドから来航したトーマス・ブレーク・グラバー氏らなどの邸宅が残されている、グラバー園から一望できる長崎港に歓声をあげる生徒たち。静かに佇む孔子廟・中国歴代博物館では、館内で「長崎遊学券」を見せるともらうことができる合格祈願のお札をもらい、来年受験の合格を祈る姿があった。

歴史的価値を未来に残そうと復元された出島では、鎖国時代の貿易・文化の拠点となっていた当時の様子を、シアターで見ることができる。平成17年に開館した長崎歴史文化博物館は、長崎奉行所立山役所の復元と共に、長崎の歴史を見て・触れて感じることができる近代的な博物館。

自主行動を終えた一行は、長崎の街を一望できる宿泊地、矢太樓南館へ。「円卓を囲みながらわいわい食事する長崎のスタイルを楽しんで欲しい」とのホテル側のはからいで、最後には名物の一つ皿うどんも登場。

平和・命の尊さを自分の目で見て体感

▼ 原子爆弾・禁教令〜両国の歴史を学ぶ

代表が折鶴を奉納【5月26日(土)】
  3日間を締めくくる最高の天気となったこの日のメインイベントは、平和公園での「平和集会」。バスに乗り込んだ生徒たちは、集会へ向けて歌の練習を始めた。にぎやかにおしゃべりをしていた生徒たちだったが、この日に向けて、クラス・学年で練習を積み重ね、ビデオ等で事前学習を行ってきたこともあり、皆真剣な表情になった。

平和公園に到着すると、整然と並び始める。その姿を見ていた井上校長は、「事前学習を行ってきましたが、この地で平和、命の尊さを自分の目で見て体感することで初めてモノになります。生徒たちはとても平和に興味をもっていますよ」と話した。

平和集会は、生徒たちの手によってすべて執り行われた。開会の言葉、黙祷に引き続き、「未来は、この私たちの世代で、良くも悪くもなります。一人ひとりが未来の担い手としての自覚を持ち、平和を守り続けて行けるように努力することを宣言します」と平和宣言が力強く述べられ、折り鶴が奉納された。何度も練習した「あなたが夜明けをつげる子どもたち」を歌い始めると、涙ぐむ生徒の姿もみられた。

その後は、長崎さるくサポーターの案内を受けながら、平和公園、浦上天主堂、長崎原爆資料館等を見学。弾圧に耐え、さらに原爆にも負けず生きてきたキリシタンの歴史が感じられる浦上天主堂では、ステンドグラスの神秘的な美しさに見とれ、長崎原爆資料館では原爆投下当時の被害がわかる資料を神妙な面持ちで見る姿が印象的だった。

ある女子生徒は、「原爆がこんな大きさだとは思いませんでした。たくさんの人が亡くなったので、もっと大きいものだと思っていました。原爆は悲惨なことだというのを改めて感じました」と語り、案内役の垣野幸一さんは「長崎は原爆の死者だけではなく、禁教令で処刑されたキリシタンもいるということを少しでも知ってもらえたら」と、限られた時間のなかでポイントを2つに絞って説明したことを教えてくれた。

昼食後は、バスで約1時間の長崎空港へ向かい、運転手・バスガイドに見送られるなかANA666便へ乗り込み、3日間の日程を滞りなく終えた生徒たちは、満足げな笑顔で帰路についた。この3日間で学んだことは、写真つきでスライドショーにして発表され、各クラスの優秀作品は、学年のなかで発表される予定だという。

先生からのコメント〜学級活動へ活かして

茅ヶ崎中学校の先生方から3日間を振り返ってもらった。

▼阿蘇の自然を教科に結びつけ

【3組担任/松原美千子先生】
  天候に恵まれた3日間でした。飛行機、阿蘇と気圧の低い場所にいた1日目には、以前生徒たちに話していた気圧の低いところではお菓子の袋などが膨らむということを、身を持って感じている子がいました。私は教科が理科なので、阿蘇で学んだことを学校の授業に結びつけていきたいですね。
  自主行動では、一部市電が運休し困った子もいましたが、地元の方に親切にして頂くことがあったようで、貴重な体験もできたようです。

▼大人として扱い社会規範を

【井上光夫学校長】
  新しい試みでしたが、平和学習、自然学習といった修学旅行の目的をいずれもこなすことができました。現地ならではの感動が得られたようですし、大成功ですね。飛行機を使ったことで、生徒たちが一つ大人になったように感じます。
  今回は飛行機が初めてという子も多かったのですが、今後は飛行機に親しんでいる生徒たちが増えますので、大人として扱い、社会規範を教えていくことが必要になってきます。そうすることで、今後は通常の学級活動の中でも1対1の大人としてステップアップした学校活動ができるのではと思っています。

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