▼ マナー・サービス飛行機体験は必要
【5月24日(木)】
天気は快晴。茅ヶ崎中学校の3年生278人と教員18人は、学校近辺へ集合した後、8台のバスで羽田空港を目指した。午前7時30分、羽田空港へ到着した一行は、クラスごとにセキュリティーを済ませ、8時30分発のANA641便への搭乗を待っていた。初めて飛行機に乗る不安、家族旅行とは違う3日間の旅への期待、生徒たちはそれぞれの表情を見せながらいよいよ搭乗。
出発は若干の遅れがあったものの、無事に阿蘇・くまもと空港を目指し飛行機は離陸体勢に入る。家族旅行で飛行機を利用した経験をもつ生徒もいるが、大半は初めての飛行機。女子生徒のなかには「怖い」と抱き合う姿もあったが、いざ飛ぶと「飛んだ!すごいね」と拍手し喜んでいた。その後も「富士山が下に見える」「太陽が近い」と、一つひとつが生徒にとっては新鮮だったようだ。
井上校長は、「これからの子どもたちは必ず飛行機に乗る機会がある。機内サービスを体験したり、機内のマナーなどを中学生のうちに体験させてあげることは必要」とその様子を見守っていた。
午前10時過ぎ、阿蘇・くまもと空港に到着した一行は、朝の羽田とは打って変わった熊本の暑さを肌で感じながら、ロビーで歓迎の横断幕をもった九州産交観光鰍フバスガイドと運転手らに大歓迎を受け、バス8台にクラスごとに乗車。
生徒たちのテンションは最高潮に達し、車内ではバスガイドの岡本絵美さんに「熊本はどんな言葉を使いますか?」などと興味津々。岡本さんは、「ばってん∞ばい∞あぎゃん≠ネどを使いますよ。こちらの方言と共に、たくさんの味にもふれて下さいね」とあいさつ。
一通り九州の説明を行った後、まずこの後向かう「阿蘇」についての説明をした。阿蘇は、緑の濃い5月が一番の季節。冬を越えた牛・馬たちがあちらこちらに放牧され草をむさぼる姿に、大自然を感じ、車内では「牛だ」「馬だ」と歓声があがる。住宅街に住む同校の生徒たちにとっては、新鮮で不思議な空間に違いない。
▼ 博物館を見て学び自然を味わう
バスは山道をどんどん進み、阿蘇の山々が目前に迫ってくる。南北25`メートル、東西18`メートルの世界最大級のカルデラは複式火山と呼ばれ、根子岳・高岳・中岳・烏帽子岳・杵島岳とさまざまな形の「阿蘇五岳」が、それをとりまく外輪山の中にある。
自然のなかをバスで走ること1時間、阿蘇火山博物館のある草千里ヶ浜に到着し、「草千里レストハウス」で昼食となった。そこでは、この日の宿泊先「阿蘇の司ビラパークホテル」の岩下明支配人が出迎え、(社)熊本県観光連盟からの歓迎の花束を生徒代表へ贈呈。岩下支配人は「熊本には、阿蘇だけではなく天草の文化、水俣での環境学習などさまざまな素材があります。阿蘇の大自然をぜひ感じ取って帰って欲しいですね」と熊本の大地の魅力を語った。
昼食後は、火山博物館と火口の見学をクラスごとに実施。同館では、学芸員のほかにNPO法人阿蘇ミュージアムのインタープリター養成講座の卒業生がガイドを行ってくれる。池辺伸一郎館長は、「街中のミュージアムと違う点は、博物館を見るだけではなく、そこで学んだ自然も味わえます」と、地の利を生かした環境教育ができることを教えてくれた。
館内では、実際に溶岩に触れたり、火口付近にあるカメラのライブ映像を観ることもできるほか、3階のマルチホールでは高さ4b、幅30bの大迫力スクリーンで、阿蘇の自然・文化・噴火の様子を知ることができる。
博物館を見学し、いよいよ、中岳の火口を歩いて目指すことになった。「ここは国立公園です。花や石などを採ったり、それを持ってきてはいけません。ゴミを置いてきてもいけませんよ。触れるのは大丈夫ですからぜひ火山灰などに触れてみて下さい」と説明を受け、20分の坂道を登り始めた。道路脇に咲く、桃色のミヤマキリシマの姿に一瞬心が和むが、15分ほど歩き続けると火山灰に覆われた砂千里ヶ浜が現れ、花も咲かない荒涼とした様子に「自然」の神秘が感じられる。
息を切らしながらさらに5分ほど登ると火口にあるエメラルドグリーンの「湯だまり」が見える。生徒たちからは「キレイ」「すごい」といった感嘆の声があがり、しばしの間それぞれ記念撮影を楽しむ姿が見られた。
▼ 生徒・先生から〜湯だまりに感動!/移動もスムーズ
ホテルに着いた生徒たちに話を聞くと、「最初は山に登るのが本当に辛かったけど、エメラルドの湯だまりを見た時には一番感動しました。牛や馬があちこちにいたり、自然が多いですね」と自分たちが住む環境との違いをかみしめていた。
学年主任の島田正樹教諭は、「今日は本当に天候に恵まれ、自然を体験することができました。飛行機に関しても、事前に子どもたちには着席がマナーときちんと伝えていたので、混乱もなかったですし本当に良い1日でした」と初日を振り返った。