教育委員会や学校の整備担当者を対象に実施している「教育委員会対象セミナー~ICT機器の整備と活用と管理・研修」が、8月8日京都で開催され、約100名の教育委員会や教職員が参集した。
京都教育大学附属桃山小学校・山川拓教諭 |
京都教育大学附属桃山小学校は、文部科学省やパナソニック教育財団の研究指定を受け、平成22年度から小学校の授業におけるICT活用の研究に取り組んできた。
当初はタブレットPCの導入台数も少なく、40台のデジタルカメラからICTの授業活用が始まった。
社会科では地域探検や学校探検で気になった場所を撮影。生活科では植物が成長する様子を定期的に撮影して記録に残した。従来のように絵に描いて成長の様子も記録するが、撮影した画像と比較して振り返ることがねらい。タブレットPC導入後はカメラ機能を使って同様の取組が行われている。
「カメラ機能により、その一瞬を保存することができ、しっかりと吟味する活動が容易となった。月日の経過を追って撮影することで、同じものの変化が追いやすくなる。動画機能を活用すれば、国語の授業で児童が紙芝居を読む様子など、繰り返し見直すことができる」
タブレット端末(iPad)は徐々に導入台数を増やしており、現在4クラス分にあたる135台が稼働。1人1枚のSDカードで管理している。タブレット端末の導入に合わせて無線LANも整備した。
こうした環境により、児童は授業で疑問に思ったことを、その場で検索して調べられるようになった。また、互いのタブレット端末の画面を見せ合うなど、グループ活動が活発になったという。
タブレット端末を使ったプレゼンテーションで、大きな役割を果たすのが電子黒板だ。全教室に電子黒板が設置されており、42インチ、50インチ、70インチの電子黒板を使い分けている。
同校は、文科省からの指定を受け、平成23年度から新教科「メディア・コミュニケーション科」の研究・開発に取り組み、実践を重ねてきた。
「メディアを通じて情報を収集・発信し、他者とコミュニケーションを図ることは、これからの時代において必要な能力。しかし、小学校は指導する学年や授業が決まっておらず、教えるタイミングが難しい。そこで新教科を作って教えることにした」
「メディア・コミュニケーション科」では、PCや新聞など、それぞれのメディアの特性を理解する。さらに、情報を批判的に読み解き、自分の考えを構築し、相手を意識しながら発信する能力と考えを伝えあい・深め合おうとする態度を育てる。
21世紀型情報活用能力の育成、「メディア」と「コミュニケーション」を一体とした指導、課題解決を主体とした指導が基本方針だ。
メールは内容が伝わるように相手のことを考えて送るが、新聞もWebも、作り手の「思い」が入ることで「メディア」になる。作り手の思いをどう受け止めるか、発信したのちにどう受け止められるかを検証していくことが「メディア・コミュニケーション」である。
児童の資質・能力を育むためにも「学びたいことを学ぶための環境づくり」に今後も力を入れていくと語った。
【講師】京都教育大学附属桃山小学校・山川拓教諭
【第41回教育委員会対象セミナー・京都:2017年8月8日】