7月28日、教育家庭新聞社主催で第3回私立公立高等学校IT活用セミナー(東京開催)が開催され、多数の教育関係者が参集し、ICTを活用した教育事例を共有。積極的な情報交換が行われた。
横浜市立横浜サイエンスフロンティア高等学校・綿貫巌教諭 |
高校生バイオサミット、グローバルリンクシンガポール、日本森林学会、つくばサイエンスエッジ、日本天文学会ジュニアセッション、マスフォーラム、高校生科学技術チャレンジ、ジュニア農芸化学会--同校の生徒はこれら学会・フォーラム・募集等で様々な理数科学研究や論文を発表するなど「サイエンスフロンティア」という校名にふさわしい学びを展開している。
同校では、2年生になると理科、数学、情報分野から好きなジャンルを選択して研究を行っており、前述の発表活動はこれら研究の一環でもある。
これら研究活動は、ロボット研究で国立大学のAO入試合格実績も出るなど成果が上がっている。
情報分野を選択した生徒は、「人に役立つロボットの制作」をテーマに取り組んでいる。
ペットボトルの蓋を開けるためのロボットをAndroidアプリでプログラミングする生徒もいる。
JR好きの生徒は教育版レゴマインドストームを使って、可動式ホーム柵の仕組みをプログラミング。文化祭で発表すると、それを見たJRの職員から声がかかり、鉄道博物館でプレゼンテーションを行う機会を得た。
国際ロボットコンテスト WRO(World Robot Olympiad)にも出場。
今年は11人が出場し、マインドストーム歴わずか半年の女子3名で編成されたチーム「norn」がオープンカテゴリ高校生部門で第4位に入賞する快挙を成した。綿貫教諭は「普通の女子高生がロボット大会で世界大会に出場し、入賞まで果たした」と語る。
その年のオープンカテゴリのミッションは「Rap the scrap」-廃棄物を削減し、削減し、リサイクルする-というもの。
そこで、チーム「norn」は、植物由来のペットボトルと石油由来のペットボトルを分別、それをカッターで糸状に加工して、その糸を編んでエコたわしを作るロボットの制作に挑戦。「たわし」は翻訳できないため、その説明も必要だ。
予選はビデオとレポートで、通過するとプレゼンテーションによって選抜される。1、2回目のプレゼンでは「それぞれの生徒の役割」、「なぜこういうロボットにしたか」などの比較的優しい質問だが、3回目は物理的な質問やアルゴリズムが質問の中心となり、これらについてネイティブではない審査員と英語でコミュニケーションをとらなければならない。
「最近の生徒はプログラミングばかりに目が行き、アルゴリズムを考えない傾向にあるので、国際大会の参加は最適。勝ち抜くためには、プログラミング以上にミッションの設定が重要。分析や解析に加えてアイデア、その実現力、さらに伝える力と総合力が問われる。もう少し専門的な知識を英語で言える練習をしておけばさらに良かった」と振り返った。
チーム「norn」がWROでプレゼンテーションしている動画はYouTubeで公表されている。
【講師】横浜市立横浜サイエンスフロンティア高等学校・綿貫巌教諭
【第3回私立公立高等学校IT活用セミナー・東京:2017年7月28日】