7月28日、教育家庭新聞社主催で第3回私立公立高等学校IT活用セミナー(東京開催)が開催され、多数の教育関係者が参集し、ICTを活用した教育事例を共有。積極的な情報交換が行われた。
佼成学園中学校・高等学校・南井秀太部長 |
同校は東京都杉並区にある生徒数約1000名強の中高一貫の男子校だ。
すべての専任教員にはiPadを配布しており、各教室には無線LANと電子黒板型プロジェクターを設置。生徒にも1人1台のiPadを中学校1年時、保護者負担により配備している。スペックや色を自由に選択でき、分割払いも可能で、自宅のiPadを学校用にキッティングすることも可能にし、MDM(Mobile Device Management)で管理。有害サイトフィルタリングソフトも導入している。
同校の情報管理は平成14年から始まった。
まずサーバを設置して学籍管理メールを整備。平成21年に教務システムを導入して学籍管理、成績処理、帳票発行、各種証明書、調査書、指導要録、通知表などで活用。公印のみ手で押すようにした。
平成27年には教育支援システムClassiを整備。導入済の校務支援システムと重複する機能は導入せず、コミュニケーション機能や書類配布、連絡、生徒情報管理、成績カルテ、生徒情報、学習記録などを活用。学習記録の可視化、保護者への見える化、業務の効率化など様々な効果が生まれた。
教員は毎朝、iPad上に記入された連絡事項を見ながら各学年で打ち合わせをし、連絡ミスがないようにその内容を生徒に配信している。
学習記録に対しては学校長や教科担任など様々な立場の教員が1人ひとりにメッセージを送っており、自己肯定感の醸成につなげている。進研模試、駿台模試、河合模試の結果もクラウド上にアップしてすぐに参照でき、保護者も同じアカウントでアクセスできる。成績上昇時、下降時の状態を分析、コーチングにつなげる予定だ。
生徒、家庭、教員間のコミュニケーションも充実した。連絡が徹底しやすくなり保護者の学校への関心も高まった。学級通信も月に1回、PDFで配信している。校外学習や修学旅行、運動部応援などの際には担当教員がWi-Fiを持参。リアルタイムでその場の様子を報告する。
Web出願も導入。募集行事の参加予約や出願登録、合否照会、入学金決済を一元管理できる。このデータは入学後にも活用できるので、成績処理やアカウント発行もスムーズだ。高速印刷機も2台導入して印刷業務の効率化を図った。
高大接続改革では、多面的な入試が導入されることから、ポートフォリオがより一層重要になる。そこで進路教務が率先して活用を開始。企業の協力を得ながらポートフォリオの実証実験も予定している。
【講師】佼成学園中学校・高等学校・広報部・南井秀太部長
【第3回私立公立高等学校IT活用セミナー・東京:2017年7月28日】