1月25日に第37回教育委員会対象セミナーを福岡・天神クリスタルビルで、2月8日に第38回教育委員会対象セミナーを名古屋・名古屋国際センターで開催した。次回、第39回教育委員会対象セミナーは、3月29日に岡山・岡山コンベンションセンターで開催する。セミナー日程は教育家庭新聞Web(www.kknews.co.jp)へ
熊本県高森町立 高森中学校 古庄泰則校長 |
熊本県高森町では、「コミュニティ・スクールを基盤とした小中一貫教育・ふるさと教育」を重点施策とした「高森町新教育プラン」を策定しており、各小中学校はICT活用とふるさと教育に力を入れ、地域を元気にする学校を目指している。さらに来年度から、高森東学園は義務教育学校となり小中一貫教育を一層強化する予定である。
高森町の授業モデル「たかもり学習」では、主体的で深い学びの実現を目指す。教育環境整備も重視しており、その1つがICT環境整備だ。平成24年に電子黒板と実物投影機を全小中学校の全普通教室に整備。「これが良かった」と古庄校長は振り返る。
さらに校務支援システムも導入。平成25年には、学習者用情報端末390台を整備。文科省や県教委の委託による実証研究も多く検証している。
「たかもり学習」とは「た=たしかにつかもう今日のめあて」「か=かんがえようまずは一人で」「も=もっと深めよう仲間とともに」「り=振り返ろう今日の学びを」の4つ。高森中学校では「たかもり学習」の学習課程に沿ってICTを活用し、課題や提示の工夫、個に応じた指導の工夫、対話的な学びの推進などに取り組んでいる。古庄校長は「学校経営のキーワードは、共有化・教材化・焦点化。成功事例はもちろん、失敗事例も共有し教材化する」と話す。
同校では、情報端末を各教科で多様に活用しており、試行錯誤を支援するICT活用を意識している。地域間交流や専門家との交流を通して、地域活動における情報収集能力の育成も図る。プログラミング教育は小中連携で実施。情報端末の学外への持ち出しや家庭への持ち帰り学習も積極的に行っている。
同校では、学びの質の向上、授業改善などに向けて、「たかもり学習」専用の授業チェックシートを作製して活用している。これには「たかもり学習」における学習ステップごとに、生徒が心がけること、教員が注意して指導するポイントなどが提示されており、生徒は自身の学習ポイントと教員の指導ポイントを知った上で授業に参加する。「授業チェックシートは教員・生徒の自己評価、生徒による授業評価にも活用している。授業の狙いや学びのポイントを把握することで明確な学習目標を持って学ぶことができる」と話す。
教員同士の授業研究会も頻繁に実施。授業公開後に行う「スーパー事後研」には、授業を受けた生徒も参加する。「この発問で理解できたのか」などの質問に生徒は正直に答えている。中には厳しい意見もあるが、教員の指導力向上に繋がっている。各教員の研究成果は5月、8月、11月、3月のポスターセッション大会で公開。全員がどこかの会で発表する。
これら取組の成果としては、学力・学習状況調査結果が全国平均を上回り、特に算数・数学のB問題の得点が伸びた。
古庄校長は「今後は家庭学習などでもICTを活用して、生徒の自己実現を目指した教育を提供していく」と話した。
【講師】熊本県高森町立高森中学校・古庄泰則校長
【第37回教育委員会対象セミナー・福岡:2017年1月25日】