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教育ICT

探究・自己調整・協働 目指す姿を研修で体験 ICTチームが教科会に参加 議論深まる<神奈川県立生田東高等学校 教諭 秋山紀将氏、総括教諭 大石智広氏>

2024年2月5日
第105回教育委員会対象セミナー・東京

12月5日、東京都内で第105回教育委員会対象セミナーを開催した。東京都教育庁は教育データ利活用、久喜市教育委員会はSTEAM教育・探究的な学び、君津市立清和小学校はMEXCBT活用、神奈川県立生田東高等学校は学校全体で進めるICT利活用について、取組と成果を報告した。


神奈川県立生田東高等学校 教諭 秋山紀将氏

神奈川県立生田東高等学校 教諭 秋山紀将氏

神奈川県立生田東高等学校 総括教諭 大石智広氏

神奈川県立生田東高等学校 総括教諭 大石智広氏

生田東高校は2022年度から神奈川県のICT利活用授業研究推進校として11台端末(iPad)を活用した授業改善に取り組んでいる。今年度、文科省・生成AIパイロット校にも指定。研究の成果を同校ICTプロジェクトチームの秋山教諭と大石総括教諭が報告した。

…◇…◇…

学校全体で授業研究を進めるためには「どんな授業を実現するためにICTを活用するのか」という問いへの答えを全教員が共通認識として持つ必要がある。

本校では「探究」「自己調整」「協働」をビジョンに掲げた。具体的には、生徒が疑問や知りたいと思うことを「探究する姿」、自らの学びや考えをふり返り次の学びに活かそうと「学びを調整する姿」、学びや探究を生徒同士が共有しながら深めていく「協働する姿」、これらの能動的な姿が見られる授業づくりを目標に定め、生徒が能動性を発揮する場面を、ICTを活用して引き出していく。

このビジョンの下、特定の教科ではなくすべての科目で、かつ教科をチームとして組織的に取り組むことを周知した。

■専任チーム結成 教務を後ろ盾に

研究推進には専任となるチームの設置が効果的だが、独立した新規のチームでは全体への働きかけが難しい。そこで、学校を動かす役目を持つ教務グループ内に「ICTプロジェクトチーム」を設置。教務の力を借りることで全校を巻き込んでいく体制を整備した。

また、各教科・学年にICT活用推進担当を配置して、それぞれがチームとなってノウハウを共有する仕組みも整備。授業研究や活用推進の主体は教員である。プロジェクトチームの役割はそれをサポートするための研修づくりや環境整備だ。

■教科会をファシリテート

研修では前述のビジョンの3つの姿を教員自身が実感できるよう意識した。教員同士で協働し、探究し、自らの授業をふり返って授業改善につなげる、そのためにICTを用いるという構造だ。

全体研修は年2回。4月のICT活用研修ではClassroomと学習支援アプリを使って昨年の実践を共有。機能や使い方は教えず教員は協働して研修に取り組んだ。6月の授業づくり研修では探究を取り入れたモデル授業を参観し、問いをもとに生徒の探究する姿を引き出すための手立てを各教科で探究した。

教科会にプロジェクトチームメンバーが参加する「巡回研修」も効果的だった。各メンバーがファシリテーターとなることで会議が活性化。実践や今後やってみたいこと、悩みや使用アプリなどを共有する中で新しい発見につながり、教科の見方を働かせる授業への議論が深まった。

■「言いわけ」出来ない環境を整備する

環境整備もICTプロジェクトチームの重要な役割の1つだ。いつでもどこでも使える環境があれば人は自然と使うようになる。そのため、徹底して環境整備を行った。

11台端末の選定基準はすべての教科で使えること。キーボード入力が不向きな科目や活動でも使えるようペン入力しやすく、壊れにくく持ち運びに適していることからiPadを導入した。

2教室に1台程度だったアクセスポイントは、特別教室や体育館も含め全教室に整備。授業で気軽に使えるよう黒板に取り付けたスクリーンと天吊りのプロジェクターは全校集会などにも活用されている。AppleTVの導入により画面共有も即座にできる。分配器、HDMIケーブルも教室内に設置した。

本校ではこれらを学校予算で整備したが、「工夫すれば学校だけでもできる」という再現性はないと考えている。「ここまで整備すると活用が進む」事例として、教育委員会が主導して整備を進めることが重要だろう。

■「協働」から「探究」へ

研究成果の測定は「3つの姿が授業で見られたかどうか」。プロジェクトチームを中心に授業を参観して実践報告をまとめ、成果を収集している。公開研究授業は授業づくりの過程を重視。教科内でペアを作り、指導助言者との検討も交えながら組織的な授業づくりを行っている。

課題を把握するため、アンケート調査を実施。生徒へは授業中にICTを活用しているかを調査。教科間・教科内の活用格差が見えてくる。

教員アンケートからは協働する姿は多くの授業で見られる一方で、探究する姿、自らの学びを調整する姿への取組は課題があることが分かった。探究する姿を授業に盛り込むために、問い、手段、結論という探究の過程を部分的に委ねる「小さな探究」をより多くの場面で取り入れてもらうよう働きかけている。

【第105回教育委員会対象セミナー・東京:2023年12月5日 】

教育家庭新聞 教育マルチメディア号 2024年2月5日号掲載

 

  1. 東京都教育庁総務部 統括指導主事 岡村健氏
  2. 久喜市教育委員会 GIGAスクール推進室 指導主事 古田裕子氏
  3. 君津市立清和小学校 教諭 三平大輔氏
  4. 神奈川県立生田東高等学校 教諭 秋山紀将氏、総括教諭 大石智広氏
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最新号見本2024年12月03日更新
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