GIGAスクール構想に伴う1人1台の端末環境の活用をテーマに「第88回教育委員会対象セミナー」を4月2日に広島で、「第85回教育委員会対象セミナー」を3月29日に福岡で開催した。いくつかの講演内容を紹介する。なお肩書きは3月末時点。
2010年度総務省フューチャースクール推進事業以降、学習者用端末活用を継続している広島市立藤の木小学校ではGIGA端末配備後、学びはどう変わったのか。田中淳紀氏が報告した。
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GIGA端末としてiPadが配備されて1人1台環境になり、慣れることから始めた。日々の学習は児童のICTスキルが土台になると考え、キーボード選手権で意欲付けをしている。タブレット開きも、FS事業以来、毎年行っている。
クラウド活用が可能になったことで様々な活動が可能になった。クラウド上にデータを保存できるため、へちまの成長過程など、年間を通してデータを閲覧・利用できるようになった。毎年行っている和太鼓演技では、過年度の活動を見て練習することができた。
特にGoogleWorkspaceの活用が大きな変革をもたらした。
教員研修ではスプレッドシート上に皆で同時に、重複しないように「国名を入れる」研修を最初に行っている。簡単に同時編集を体験できるので、どんな研修から取り組めば良いか迷っている学校にはお勧めだ。研修の感想や意見もJamボードでまとめている。
授業でも学習内容や自分の考えの整理にJamボードを活用。振り返りはGoogleFormsで行うようになった。
教員は毎朝、一日の流れをスライドにまとめてClassroom上に配信しており、次の日の連絡を投稿。その日の流れを児童は朝のうちに確認して学習の見通しをもって準備している。
本校では「かくスキル11」として「かく活動」を探究学習の課程に位置付けている。また、情報活用能力調査において特に弱かった部分を補強するため、児童が1人で問題解決するために必要な力として「学びのスキル11」をまとめ、各授業で取り組んできた。これはクラウドと1人1台端末導入後も継続。協働的な学習で同時編集やコメントのやりとりが増えており、普段使っているSNS等とは振る舞いや言葉遣い、気遣いが異なることについて日々繰り返し指導を行っている。【講師】広島市立藤の木小学校研究主任・田中淳紀氏
【第88回教育委員会対象セミナー・広島:2022年4月2日】
教育家庭新聞 教育マルチメディア号 2022年5月2日号掲載