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教育ICT

「チャレンジできる教員」「自走する学校」が増えた 教員の約6割が「ステップ2」に<三次市教育委員会学校教育課指導主事 大﨑友子氏>

2022年5月6日
第88回教育委員会対象セミナー・広島

GIGAスクール構想に伴う1人1台の端末環境の活用をテーマに「第88回教育委員会対象セミナー」を4月2日に広島で、「第85回教育委員会対象セミナー」を3月29日に福岡で開催した。いくつかの講演内容を紹介する。なお肩書きは3月末時点。


三次市教育委員会学校教育課指導主事 大﨑友子氏

三次市教育委員会学校教育課指導主事 大﨑友子氏

複式学級や中規模校と様々な規模の学校がある広島県三次市教育委員会(小学校21校・中学校12)GIGAスクール構想の進め方について大﨑友子氏が報告した。

◆・◆・◆

三次市版ICT活用事業により情報端末を数年計画で配備していたがGIGAスクール構想により一気に配備。端末は20211月に、ネットワークと充電保管庫は同年3月までに整えた。それに伴い家庭通信環境整備のための補助金制度(上限1万円)を設置。初年度は市内小中学校在籍児童生徒全員、翌年からは新入学児童及び市外からの転入生を対象とした。187件の家庭が利用した。

端末は32GBiPad8世代でタッチペン、授業支援ツールとしてロイロノート・スクール、1人ひとりで学びも進められるように問題データベースタブレットドリルも導入。Microsoft36520221月から活用している。フィルタリングはクラウド上で見守りできる仕組みを導入した。

■体験から始め 教員研修を手厚く

端末を文房具として使いこなすため、三次市版「ICTを活用した学習の手引き」において「三次市がめざすICT活用授業を実践するためのステップ」を作成。体験から始めるステップゼロで便利さに気づいた後、いろいろ試すステップ1(Ⅰ)、チャレンジするステップ2(C)、使いこなすステップ3(T)を設定した。

教員研修の充実も図った。5回の情報担当研修で、理論や授業研究、活用事例、実践交流、授業参観と研究協議に取り組んだ。操作研修はオンライン参加もできるようにした。

ICT支援員は4名に増員し、オンライン授業の方法等教職員研修を年間5回実施。市として積極的に指定事業にも参加して活用機会を増やした。

情報端末の持ち帰りはまずモデル校の小学校高学年と中学生から始め、その後34年、12年も実施。現在は全校全学年で端末を活用した家庭学習が始まっている。コロナ禍の学級閉鎖時もオンラインで授業配信ができた。

現在は持ち帰り用の鞄を用意する、雨天時のビニール袋を準備するなど学校独自の工夫がみられるようになった。

■成果と課題

最も大きな成果は「チャレンジする教員」「自走する学校」が増えたこと。各教科での活用や校務・行事での活用が次々と報告されている。情報担当教員に各校の段階を聞いたところ、約6割が「ステップ2」であるという回答であった。

活用が増えると学力向上のためにデジタルで行うべきか否かの議論が始まる。教員活用の二極化等の課題も目立つようになる。これらの課題解決も含め、2022年度は、三次市主催研修会の充実、三次市版情報モラル教材作成、学校訪問指導とICT支援員による巡回訪問、GIGAスクール運営支援センターによるサポートを行う。MEXCBTの利用も進める。【講師】三次市教育委員会学校教育課指導主事・大﨑友子氏

【第88回教育委員会対象セミナー・広島:2022年4月2日】

教育家庭新聞 教育マルチメディア号 2022年5月2日号掲載

 

  1. 鳴門教育大学准教授 泰山裕氏
  2. 三次市教育委員会学校教育課指導主事 大﨑友子氏
  3. 広島市立藤の木小学校研究主任 田中淳紀氏
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