教育家庭新聞社は3月29日、岡山県で第77回教育委員会対象セミナー「GIGAスクール構想 ICT機器の整備・活用」を開催。講演内容の一部を紹介する。
新見第一中学校の藤井教諭は「まずやってみることから始め、どんな場面でもよいので学習場面で実践することを目指している。10年間の取組から、教員自身が挑戦し、解決しようとする意欲が最も重要であると感じている。教育に人の力は欠かせない」と話す。
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2011年文科省「学びのイノベーション事業」実証地域の1つが新見市市立哲西中学校であった。同校には1人1台端末(iPad)とWiFi環境を配備。その取組が拡大し、2015年に全中学校にICT環境を配備し、さらに2020年GIGAスクール構想でネットワーク強化や小中学校への端末配備を進めている。プログラミング教育用にWindowsPCも台配備した。
現在、本校では全生徒・教員にiPadが配備されており、特別教室を含む全教室に60〓の電子黒板を配備。WiFiは体育館やグラウンドもすべて接続できる。ICT支援員は常駐1名。
使用頻度の高いアプリは、ファイル共有アプリ「Dropbox」やPDF注釈アプリ「Annotate」などだ。ワークシートの配布や回収は「Dropbox」経由で行っている。職員室の時間割ボードを写真撮影してDropbox経由で全生徒の端末に配信。学級の時間割係はこれを教室内の時間割ボードに記入している。
本校では朝の会終了後、各自が充電保管庫に端末を取りに行き、終日自分で管理。帰りの会が始まるまでに返却する。休憩時間や昼休みは自由に活用して良いという運用だ。
学校は、アプリの追加も可能で、使用したいアプリをICT支援員が検証し、問題なければ校長権限で活用できる。iPad上に様々な教科のドリルアプリが入っており、小学校レベルのアプリもある。特別支援学級の授業で特に活用が頻繁だ。NHKforSchoolのアプリも利用している。
ALTが作成した予習用の動画を家庭で視聴し、ワークシートに取り組んでいる。動画はオフライン再生できる。
生徒活用も盛んだ。Google Formも利用して委員会活動に活用。結果は児童で集計・グラフ化できる。
オンライン学習については4月後半から、その後の臨時休業を想定した取組を始めた。動画等のコンテンツ制作は教科チームが自分の授業風景など5~10分程度の動画を制作。これを学校専用のGoogleドライブにアップ。そのリンクをワークシート(PDF)に貼り付け、Dropbox経由で生徒に配布している。
6月からはZoomアプリを導入。オンライン生徒総会を行った。司会者と質問者がZoomでやり取りし、他の生徒は各教室で電子黒板から視聴した。全15教室で一斉にZoomにつながると学校のWiFiが不安定になることも本取組でわかった。
そこでオンラインで終業式や始業式も実施した際には、ZoomをYouTubeLiveにより視聴することで生徒総会時に課題とされた接続混雑が解決し、各教室での視聴操作も簡単になった。
別教室登校生徒の学習支援に向けた取組も開始。
担当教員と生徒がZoomを通していつでもつながれるようにした。
文化祭では、体育館の様子を端末で撮影し、各教室の電子黒板にWiFi経由でYouTubeLiveにより配信した。
ホストPCに専用外部カメラと舞台集音マイクを接続。サブPCに専用外部カメラを接続し、移動配信用カメラ(iPad)を使用。3台のカメラを生徒が分担して舞台横、舞台後方、正面を撮影。機器操作は生徒会が中心で行ったがスムーズにできた。生徒の活躍には予想を上回るものがあった。【講師】新見市立新見第一中学校教諭・藤井幸治氏
【第77回教育委員会対象セミナー・岡山:2021年3月29日】
教育家庭新聞 教育マルチメディア号 2021年5月3日号掲載