集会や議論することを前提としたPTA活動だが、コロナ禍の今年は大きく制約を受けている。(公社)日本PTA全国協議会と(一社)全国高等学校PTA連合会の会長が交代。新会長に就任した日P会長・清水敬介氏と全高P連・泉満氏に、会運営の方針や会議・大会等の実施方策についての考えを聞いた。コミュニケーションのツールとして急速にWeb活用が浸透する現状をプラス思考に捉えようとするところが共通している。
Covid19は社会に大きな変化をもたらしている。遠隔授業・テレワーク・遠隔医療などが推奨され新しい日常が浸透することが想定される。このコロナ禍でデータやIT活用における学校教育の課題が顕在化しているがパラダイムシフトは現状を変え、新たな位置を築くチャンスでもある。本会としても不変の基本理念を踏まえ今の厳しい環境で起きていることにしっかり目を向け新化を遂げるために何をなすべきかを議論し具体策につなげていきたい。
アフターコロナ・ウィズコロナにおいては連合会としての新しい在り方を踏まえ、遠隔・オンラインか対面・オフラインかという二元論に陥ることなく双方の良さを取り入れたハイブリッド型の運営に取り組む。
また本連合会は加盟校数4000校、会員数215万の全国組織としてのスケールを活かし各地域の実情・課題、多様な意見を共有し関係機関へ発信し社会に反映していくことが重要な役割であると考える。
50の都道府市県連合会と情報共有とスピード感とエビデンスのためオンラインで繋がることを目指したい。課題はデバイスの確保とITスキルだが問題はないと考える。すでに理事会・役員会・委員会はオンラインとリアル兼用の運営取組みを行っている。日常の中であたり前のように享受してきた‘つながり’が分断された今だからこそオンラインツールを用いてつながろうとすることは共感をえるものと確信する。コロナ禍の終息後でもリモート化が今後の運営の常態になると考える。
また各地区・協議会との情報収集には昨年度から導入したアンケートシステムをバージョンアップし活用していきたい。
今年の開催予定だった第70回全国高等学校PTA連合会大会島根大会は中止となり、来年同時期に延期されたのだが、70回という節目でもあり、大会の新ガイドラインの実施大会でもあった。しかし1万人規模の集会であることが前提だったので、コロナ禍の現状に加えニューノーマルといわれる新しい社会様式のなかでは人が集まることに多くの課題がある。新ガイドラインの趣旨を活かしながら現状を受け入れた実施方法を構築する必要がある。少子化という背景だけでも、従来のような人数ありきの全国大会の発想は改めなければならない。
次期大会は大人数を集めるのではなくオンラインで動画配信も含めての実施についても検討している。会員にとって大会は貴重な学びの場である前提に加え、直接その場で聞く、見、感じることが前提だろうという多くの意見も尊重したい。感染症予防対策としてのWeb活用とリアルとの融合という新しい大会様式に取組みたい。
多様なデジタルツールを効果的に活用し生徒の実情に応じて同時双方向型のオンライン学習を認め対面指導と遠隔・オンライン教育とのハイブリッド化を図ることが重要である。しかしながら教育用デバイスの普及や環境整備が進んでいない現状に加え地域格差の課題が顕在する。デジタル化は過去いく度も提唱されてきたにもかかわらず進まなかったが、コロナ禍による長期の学校休校間の学習指導の在り方が問われる中で、ICT教育が前進しようとしている。
地域間、学校間でのICT環境の格差を解消しデジタル化の歩みを支援しなければならない。格差の解決には私達全高P連が地区・地方の実情や課題を行政・各関係機関に届け続けること。それこそが私達PTA組織の役目だと思う。
教育家庭新聞 健康・環境・体験学習号 2020年11月16日号掲載