「時代の変化に合わせた運営の在り方を求める一方で、やるべきことはやる。本質を見失ってはいけない」と語るのは、一般社団法人全国高等学校PTA連合会(=高P連)の牧田和樹会長。就任2年目を振り返ると同時に、今期に臨む重点課題を聞いた。
「8月24・25日に開催される第68回全国高等学校PTA連合会大会(佐賀大会)の分科会で、AIの進展が将来の進路にどのように影響するかといったテーマで、私も参加して専門家とディスカッションする。私の結論は“AI恐るるに足らず”。他者との関係を築く力、相手を思いやる力、他者を理解する力、自分をぶつけられる力。これらを総じた“人間力”はAIに備わっていない。だからこそ養うことが進路指導の要諦になる」
「佐野前会長から託された宿題は果たせたと思う。自分だけの力ではなく関係する方々の尽力の結果だ。特に全国大会の実施運営の見直しという大きな課題に、今後の道筋をつけられた。分科会の発表形式を工夫・スリム化することで、従来は1日半使っていた全体日程を1日に集約する。来年の京都大会で試行し、節目となる再来年第70回大会から実施する。地方により1万人規模の会場を確保することは難しく、2日にわたっての費用と労力はもっと合理的に使うべき」
「試行の評価は、今期の導入が整った新調査アンケートシステムが活用できる。高P連は全国都道府県の会員団体で構成されるので、その50団体を通じて加盟する4000校に、例えば全国大会の参加動機や内容の満足度等の結果を、即座に集約できる。今期はテスト運用とする」
「賠償責任補償制度については、開設6年目になり不具合が出始めたと思われることから、一部には退会者が出ているので、見直しが必要な時期だ。一方、少子化による会員数の減少傾向は避けられないが、そのことを恐れることはない」
「保護者も教員も、価値観の多様化によりPTAの存在を疑問視する意見もあることは否定できない。現状に合わせた運営の在り方を探っていく。変えていいのは手段、活動の目的を変えてはいけない。人や予算が減ろうが、やるべきことはやる。本質を見失わないこと、ブレないことが大切だ」
教育家庭新聞 健康・環境・体験学習号 2018年8月20日号掲載