特集:新たな学びを実現する〜自立・協働・創造的な学びへ

クラウド活用でLTE端末<東京都立三鷹中等教育学校>

三鷹中等教育学校
情報端末の活用で対話が増えた

1人1台のLTE端末とクラウド環境が動き始めている。都立学校の普通教室に常設型プロジェクターやクラス用情報端末を段階的に整備してきた東京都教育委員会は平成28年度「ICTパイロット校」として三鷹中等教育学校、光丘高等学校を指定。生徒1人1台の情報端末を活用した主体的・能動的な学習による教育効果を検証している。三鷹中等教育学校(仙田直人校長)では11月21日に「小中高合同研修会」を開催。学習者用端末やクラウド環境を活用した授業を公開した。

1人1台でできることが増える

2校のICTパイロット校には、教員及び生徒1人1台の情報端末(Windows情報端末※1)が導入された。通信にはLTEの携帯電話回線(※2)が利用でき、いつでもどこでもインターネット接続が可能だ。併せて1人1アカウントが付与され、クラウド環境に存在する教材やグループウエアや授業支援ツール(※3)をシングルサインオンで利用できる。学校の内外を問わず情報を共有し、学習に利用できる環境が整備されている。

対話を広げ思考を深める

中学3年生の国語(論語)の授業では、教員は学習者用端末に課題を配布、生徒達は班で話し合っていた。それぞれの考えを情報端末に入力すると授業支援ツールに集約され、プロジェクターで投写される。これにより、他の生徒の考えを即座に知ることができる。その後さらに班の中や他の班の生徒と対話しながら、個人の思考を深めるなどICTが学習活動を支えている。

研修旅行の事後学習を充実

中学校3年の社会科(京都・奈良の研修旅行の事後学習)では、京都や奈良に関して各班が調べるテーマを設定。班で1台の情報端末を旅行に持参し、寺院などの動画や写真を撮影、編集している。スライド資料としてもまとめ、発表した。

授業者の丸山優介教諭は「研修旅行の事後学習をもっと充実させたいと考えていた。情報端末が導入され、できることが増えた。撮影した動画などは今後も教材として活用したい。この様な事後学習を継続できれば、さら内容が深まっていくのではと期待している」と話す。LTE端末については「LTE回線でいつでもインターネットに接続でき、検索なども容易になった。調べた内容の信ぴょう性を確認させたり、転記ではなく自分の考えを言葉にすることを促したい」と話した。

セキュリティも高く保つ

LTEの情報端末で撮影した動画や写真はクラウド上のフォルダに保存。情報端末本体からは削除している。他のデータも同様だ。そのためPC紛失などでの情報流出リスクを低減している。

LTE回線による通信は安定しており、クラウドやMDM(※4)によりセキュリティレベルも高い環境だ。クラウド上のシステムへのアクセス制限や、MDMによる機能制限や利用情報の管理などでセキュリティを保っている。

仙田校長はICTパイロット校の取組について「LTE回線とクラウド環境により、従来できなかったことが可能になった。家庭で動画教材を視聴して学習、課題をデータで提出することもできる」と話す。

京都や奈良で撮影した動画素材をAR(拡張現実)アプリで利用することも計画している。「それを国内外の観光客が利用するなど、学習と社会が繋がる。常駐しているICT支援員や、導入企業、教育委員会などのサポートを得ながら、ICTパイロット校として様々なことにトライし、課題にも対応しながら、生徒がより豊かに活動できるように取り組みたい」と語った。

(1)富士通ARROWS Tab Q506/ME(キーボード付)(2)NTTコミュニケーションズ OCNモバイルONE for Business(3)クラウド環境でグループウエア(Office365)、授業支援ツール(School Takt)等のシングルサインオンを実現(4)Optim Biz

 

【2016年12月5日】

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