教育委員会対象セミナー・東京 ICT機器の整備計画/校務の情報化
7月5日、第31回教育委員会対象セミナーを東京で開催した。タブレットPC等ICT活用については千葉大学の藤川大祐教授、北区教育委員会の岡庭智憲指導主事、杉並区立天沼小学校の福田晴一校長、荒川区立ひぐらし小学校の山本洋校長が報告。校務の情報化については取手市教育委員会の横島信吾係長が報告した。
今年度のセミナー日程は教育家庭新聞Web(www.kknews.co.jp)へ
杉並区立天沼小学校 福田晴一校長 |
福田校長は「環境を整えて丸2年を経過すると、授業も子供も教員もかなり変わる」と報告する。
杉並区立天沼小学校では、全教室に超短焦点型の電子黒板機能付きプロジェクターが導入されており、普通教室には指導者用PC、書画カメラ、Wi―Fi環境も整備。各教科では指導者用デジタル教科書の活用も進んでいる。
同校では平成26年9月にタブレット型端末を導入。3年生40台、4年生以上は1人1台のWindows(キーボード着脱式)タブレット、特別支援学級には1人1台の@Padが整備された。授業ではロイロノート・スクール、ミライシード、SKY MENU、ポケタッチ、白板ソフトなど様々なソフトを適宜活用している。ポケタッチは初めてタブレットPCを扱う3年生が主に使用し、ゲーム感覚で操作を身に付ける。
「1人1台のタブレットを持つことで児童は情報収集が当たり前となった。疑問を感じたら、休み時間にタブレットで調べる習慣が身に付いた。発表活動や話し合い活動も活発化。前に出ることを恐れなくなった。把握しにくい子供の観察もできるようになり、普段は考えを表に出さない児童の把握につながった」と福田校長は語る。
教員もタブレットPCの導入により授業の幅が広がり、デジタルとアナログの双方をうまく活用している。
その一方で、「授業と関係ない機能で遊ぶ」「ノートの記述が減った」等ネガティブな要素もある。
しかし福田校長は「それもアリ、なのではないかと思っている。複数のアンテナで同時進行するのは、一般社会では当たり前。ノートもすべてをとれば良い訳ではない。より効果的なノート活用のあり方もあるはず。それらを含めた検証を考えている」と語る。
同校では昨年、タブレットPCを取り扱う際のルールを高学年児童が自ら作成。今では自分たちで決めたルールを守って使用している。福田校長は「学校長に求められるのは、ICTに関する教員のリテラシーやスキルを把握すること。タブレットを使いなれた高学年は、ある程度ICTスキルのある教員が担当するようにしている。地域や学校によってインフラの違いが大きい現状においては、ICTスキルが教員の配置に大きく影響する」と指摘した。
【講師】杉並区立天沼小学校・福田晴一校長
【第31回教育委員会対象セミナー・東京:2016年7月5日】
【2016年8月1日】
1、千葉大学教育学部副学部長・藤川大祐教授/2、東京都教育庁 総務部情報化推進担当・吉井英司課長
3、取手市教育委員会学校給食課管理係・横島信吾係長/4、北区教育委員会・岡庭智憲指導主事
5、杉並区立天沼小学校・福田晴一校長/6、荒川区立ひぐらし小学校・山本洋校長
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