教育委員会対象セミナー・東京 ICT機器の整備計画/校務の情報化
7月5日、第31回教育委員会対象セミナーを東京で開催した。タブレットPC等ICT活用については千葉大学の藤川大祐教授、北区教育委員会の岡庭智憲指導主事、杉並区立天沼小学校の福田晴一校長、荒川区立ひぐらし小学校の山本洋校長が報告。校務の情報化については取手市教育委員会の横島信吾係長が報告した。
今年度のセミナー日程は教育家庭新聞Web(www.kknews.co.jp)へ
東京都教育庁 吉井英司課長 |
「今後、自治体によって進み具合は違ったとしても、全体としてICT環境の整備は着実に進むと思われる。その際、ICTを積極的に活用する学校を基準にして環境整備を図っていくことが重要だ」と吉井氏は語る。
東京都は都立高校191校、同附属中学校5校、特別支援学校57校と学校数が多いため、ICT環境の整備にも相応のコストを必要とするが、「整備を進めていくには、まずICTが使われることが前提。そのために、まずは『環境が整わないためにやりたいことができない』といった事態を解消したい」という。
東京都がICT機器の第一期配備を実施したのは平成20・21年度。ICTセンターにサーバー群を設置し、すべての都立学校を結ぶネットワーク環境を構築した。
都立高校のすべての普通教室にタブレット端末、電子黒板、プロジェクターを整備。それまでCALL教室やPC教室など特別な場所でしか使われていなかったICTが普通教室でも活用されるようになった。
さらに、第一期配備に合わせて学習コンテンツ活用システムも導入。教員等が作成した様々なデジタル教材を登録して、すべての都立学校の教員が共有できるようにした。
こうしてハードとソフトの両面から整備を進めたことでICTの活用が進んだ。
続く第二期配備は、平成25・26年度だ。第一期で導入した機器のリース期間満了に伴い、学校現場の意見を取り入れながら機器をリニューアル。
大きな変更点は、プロジェクターを従来の可動式から教室の壁に固定するタイプにしたことだ。これにより授業前にプロジェクターを準備する手間と時間が短縮され、活用頻度が飛躍的に高まった。
さらに、生徒の調べ学習やグループ学習等がより効果的にできるよう、平成27年度から3か年計画で、1クラス分の生徒プラス教員用のタブレットPC43台を全都立高校に順次導入。それに伴い、無線LANのAP6台、書画カメラ6台、専用カート3台も整備。生徒1人1台のタブレットPC活用を見据えて着々と準備を進めている。
また、今年度から新たな試みとして、「ICTパイロット校事業」もスタート。
同事業では、都立光丘高校と都立三鷹中等教育学校の2校をモデル校に選定。全生徒に1台ずつタブレット端末を配備し、その活用法を検証。今後、全都立高校への拡大を視野に入れている。
タブレット端末は生徒が自宅に持ち帰り、授業の予習・復習をするほか、学習用ソフトウェアを使った家庭学習への活用なども検討している。
このほか「学習管理ソフト等の活用」、「授業支援システムの活用」などをモデル校で取り組み、外部委員を加えた検討メンバーにより効果検証していく予定だ。
【講師】東京都教育庁 総務部情報化推進担当・吉井英司課長
【第31回教育委員会対象セミナー・東京:2016年7月5日】
【2016年8月1日】
1、千葉大学教育学部副学部長・藤川大祐教授/2、東京都教育庁 総務部情報化推進担当・吉井英司課長
3、取手市教育委員会学校給食課管理係・横島信吾係長/4、北区教育委員会・岡庭智憲指導主事
5、杉並区立天沼小学校・福田晴一校長/6、荒川区立ひぐらし小学校・山本洋校長
関連記事