教育委員会対象セミナー・大阪 ICT機器の整備計画/校務の情報化
第26回教育委員会対象セミナー「ICT機器の整備計画/校務の情報化の推進」が10月30日、大阪で開催され、西宮市や堺市、宝塚市がタブレットPCや校務支援システムの整備について、大阪市立本田小学校は、タブレット端末整備後の学校の取組について報告。奈良教育大学の小柳和喜雄教授は、アクティブ・ラーニングとICT活用について説明した。
詳細=www.kknews.co.jp/semireport
堺市教育センター 主任指導主事 浦 嘉太郎氏 |
堺市では教員の事務負担の軽減と子供と向き合う時間の確保を目的に、1人1台の校務用PC、ネットワークドライブ(個人・学校)、グループウェア、文書管理・出退勤・指導要録や通知表の電子化、各種手続きのWeb化などの校務のICT化を段階的に推進している。
平成27年4月には、教務システム(成績管理・出欠管理・通知表及び指導要録の電子化)を全校で一斉にスタート。堅牢で実績のあるシステムを整備し、既に9割の小中学校が通知表を電子化済みだ。
次の段階として、校務と「堺スタイルのタブレット整備」(以下、堺スタイル)を連携する仕組みを考えている。
「堺スタイル」とは、教員がタブレットPCを指導用に活用できるように、タブレット画面を無線でデジタルテレビに転送して資料や教材などを表示するという授業スタイルの推進だ。
平成25年度には特別支援学級を除く全普通教室分の1500台を、平成26年度には残り500台分の教員用タブレットPCを配備。全小学校普通教室で一斉に運用を開始しており、既に一定の成果を挙げている。
タブレットPCは11・6インチのWindows8・1を整備。オフィスソフトやキューブなどの教材や授業支援システムも配備してプライベートクラウドへのデータ保存を可能にした。無線APによりネットワークに接続できる。平成27年度は国語と算数のデジタル教科書を全小学校に整備した。
タブレット導入前後の活用調査も実施。
導入前は「自作教材の提示ができる」という期待が多かったが、導入後はデジタル教材やデジタル教科書の活用が増えた。これは、頻繁な活用により、自作教材での対応では間に合わなくなったこと、活用が進むにつれて市販のデジタル教材の活用にイメージがわき、その有用性を実感したからであるようだ。
調査により、現在の課題も明らかになった。
活用できていない教員が数%ではあるが存在すること、個別指導や負担軽減への効果が、実感できていない教員が多いことなどだ。
そこで、タブレット活用プロジェクトを開始。
教育センター近隣の小学校から、校長の推薦を受けた研究員18名が小グループを構成し、研究授業を中心に効果的な活用を研究。9〜11月にかけて18の授業を実施して動画で全校にフィードバック。「デジタル教科書活用研修」もメンバーが中心になって進めている。
教員用タブレット配備後の整備は児童生徒用配備なのか、という質問を受けるが、堺市では、校務支援システムと授業支援システムの連携に着手している。
日常的に担任が指導用タブレットを活用していることから、出欠情報や子供の発表回数、忘れ物点検、授業中の気づきやメモ、写真などの日常の学習状況の記録と校務支援システムとの連携ができるように準備を進めている。具体的には、授業支援システムと校務支援システムに特別な機能を追加し、連携できるようにする。(講師=堺市教育センター主任指導主事・浦嘉太郎氏)
【第26回教育委員会対象セミナー・大阪:2015年10月30日】
【2015年12月7日】
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