教育委員会対象セミナー・大阪 ICT機器の整備計画/校務の情報化

第26回教育委員会対象セミナー「ICT機器の整備計画/校務の情報化の推進」が10月30日、大阪で開催され、西宮市や堺市、宝塚市がタブレットPCや校務支援システムの整備について、大阪市立本田小学校は、タブレット端末整備後の学校の取組について報告。奈良教育大学の小柳和喜雄教授は、アクティブ・ラーニングとICT活用について説明した。
詳細=www.kknews.co.jp/semireport

タブレット4800台リモートで集中管理 西宮市教育委員会学校教育部長・兼務学校情報システム課長 星川雅俊氏

西宮市教育委員会学校教育部長兼務学校情報システム課長・星川雅俊氏
西宮市教育委員会
学校教育部長兼務学
校情報システム課長
星川雅俊氏

"ご当地シール"で管理負担を軽減

西宮市は平成27年現在、小学校40校989学級(内特別支援106学級)、中学校20校376学級、特別支援学校1校26学級、幼稚園20園46学級を持つ中核都市だ。平成21年度より「学校情報化推進事業」において「夢のある授業・わかる授業」「校務の省力化」「個人情報保護」「教員のスキルアップ」に取り組んでいる。今年度は旧教育用PCの更新に伴い、タブレット端末4800台とプロジェクター143台などを整備。整備予算は、タブレット端末整備に伴い今年度は大幅に増額。現在は昨年度整備済みの校務用PC2614台、教育用タブレットPC4800台(移動用1716台、PC教室用1614台、指導者用1146台、特別教室用142台、予備102台)の整備規模となっている。

教育用タブレットPC活用に向けて、協働学習用統合ソフトやPDF閲覧ソフト、外字フォントなども市内共通で導入。教員用アカウントで入ると、指導者用デジタル教科書などが活用できる。

タブレットPCは、充電負担を軽減する目的で、すべて充電クレードル付きとした。また、児童生徒がタブレットPCに愛着を持てるよう、市のシンボル「甲山」とご当地キャラクターをデスクトップ背景に採用した。操作系アイコンをデスクトップに配置し、指示の簡略化を図った。西宮市独自の「管理シール」も考案。「甲子園球場」「甲山」など6種類の「ご当地」シールを10台ごとにクレードルとタブレットPCに貼付したところ、児童生徒自らが、楽しく出し入れ等の管理ができるようになった。

全タブレットは、設定の集中管理やリモート操作ができ、23時に自動で電源がオフになる。

5年間のリース契約であることから、将来のバッテリー寿命の不安払拭のために、タブレットを満充電してから3時間バッテリーが持続しないときは、機器交換するよう仕様書に盛り込んだ。

安定した
 無線LAN環境

学校ICT環境整備は「ICT活用により、自分の思いや考えを伝え合い高め合う」「プレゼンテーション力やコミュニケーション力、コラボレーションする力を身につけ、協働して課題を解決する」西宮の子供の育成を支える環境として位置付けている。アナログとデジタルが調和した一斉指導、協働学習、個別学習の実現のため、スムーズな画面転送・提示ができるよう、普通教室等に強固で安定した無線LAN環境を構築。耐久性とサポートデスクからの集中コントロールができる。画像転送機能付き無線APを1415箇所に設置した。これも平成27年9月から5年のリース契約だ。

教室内のどこからでもタブレット画面が転送できるため、教師の立ち位置がPCの設置場所に縛られず、机間指導とICTが調和した授業が行えるようになった。

整備前にモデル校も

本年度の整備に向け、次期学校ICT環境整備検討委員会を平成25年に設置。小学校2校、中学校2校にタブレットPC等を先行導入して情報化推進モデル校事業を2年間かけて行っており、前年度には、校務用PCの更新と校務用サーバを仮想化済み。校務系サポートデスクは平成21年度から、教育系サポートデスクは平成22年から稼動しており、校務系は19時まで対応している。
平成25・26年度のモデル校は、Windows8タブレット、iPad、Androidそれぞれで実証。授業支援システムや提示機器も複数整備して検証した。

全市的な雰囲気の
 醸成を

現在の成果としては、一斉授業での大画面提示活用の日常化、校内ネットワークの活用による資料・デジタル教科書・教材を共有する授業の実施、PC教室や普通教室での調べ学習でのコンテンツ利活用などだ。

学校ごとの活用状況の差があることから、今後は学校ICT授業活用研究委員会を設置予定。次年度は、学校情報化推進モデル校などでの研究発表会も視野に入れて取り組む予定。

今後、タブレットPC整備を予定している自治体へのアドバイスとしては、「学校ICT環境整備に向けた全市的な雰囲気の醸成」、「学校別研修会の仕様書記載」、「教員用PCのスペック(可能な限り上位機種)」などを挙げ、何よりも首長部局との連携のもと、短期、中期、長期の学校ICT整備計画の策定が必須であると語った。(講師=西宮市教育委員会学校教育部長・兼務学校情報システム課長 星川雅俊氏)

【第26回教育委員会対象セミナー・大阪:2015年10月30日】

【2015年12月7日】

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