教育委員会対象セミナー・大阪 ICT機器の整備計画/校務の情報化
第26回教育委員会対象セミナー「ICT機器の整備計画/校務の情報化の推進」が10月30日、大阪で開催され、西宮市や堺市、宝塚市がタブレットPCや校務支援システムの整備について、大阪市立本田小学校は、タブレット端末整備後の学校の取組について報告。奈良教育大学の小柳和喜雄教授は、アクティブ・ラーニングとICT活用について説明した。
詳細=www.kknews.co.jp/semireport
大阪市立本田小学校 國方千春指導教諭 |
大阪市教育センターでは「大阪市学校教育ICT活用事業」に取り組んでおり、国語、数学、理科、社会、英語などのデジタル教科書も導入。大阪市立本田小学校はそのモデル校の一つで、他校より先行してタブレット端末が配備されている。同校は今年度、日本教育工学協会(JAET)が行っている学校情報化先進校「教科指導におけるICT活用」部門の受賞校でもある。同校の國方千春指導教諭は「見せる」活用から「考える」活用に進んだ経緯を報告した。
本田スタイルは、研究体制と年間計画、研究授業、ミニ研修、雑談、ICT活用を盛り込んだ年間指導計画から生まれている。最初に着手したことは、タブレット活用ルールを決めて児童に約束事を周知。授業前後の指導に時間を取られないようにした。
研究授業は、低学年部会、中学年部会、高学年部会が協力して行う。ICTを使うことにより効果が得られるときに使用する、という考えの下、合意形成を行う。職員室での情報共有もオープンに行われており、特に「雑談」が望ましい方向性を示す場合が多く、現在は他校とも雑談交流を行っている。
年度末には1年間の授業やミニ研修会、雑談などから得られた有用な情報を実践資料集としてまとめ、次年度の教職員にノウハウを繋げている。この実践資料集は学校のホームページにも掲載している。
本校でも当初、ICT活用に苦手意識を持つ教員も少なくはなかったが、カメラ機能などをまず使ってみるところからスタート。最初に定着が進んだのは、児童のノート撮影や写真、デジタル教科書の一斉提示からだ。
児童に教科書や資料、実験などの手順・方法を一斉提示して「見せる活用」を徹底することで、教職員全体に活用が定着。その後、結果の考察や場面の想起などの活用やユニークで自由な活用に広がっていった。
1年国語「くじらぐも」では、プロジェクターで近隣の航空写真を床に投影。「上から見る」疑似体験により、児童の話し合いが盛り上がった。
3年算数では、表計算アプリでグラフを作成。
スカイプを使って専門家のアドバイスを得たりインタビューを行う授業も4年国語や5年社会で展開した。
4年総合では、Web教材「あつめて まとめて つくって つたえる」を活用して情報活用能力の育成に取り組んだ。
5年国語では21世紀型スキルの育成を視野にディベートでシンキングツールを活用してプレゼンテーション。シンキングツールはタブレットPC上にOHPシートを上から貼って分類する工夫も。
5年算数「合同な図形」や5年社会「自然環境と人々のくらし」では、My教科書作りにも取り組むなど、各教科でのユニークで楽しい授業実践が展開されている。
コミュニケーションツールとしての活用は大きく進したことから、今後はコラボレーションツールとしての活用の強化が目標。そのためにも、タブレット端末1人1台の環境に強化されることを期待している。(講師=大阪市立本田小学校・國方千春指導教諭)
【第26回教育委員会対象セミナー・大阪:2015年10月30日】
【2015年12月7日】
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