教育委員会対象セミナー・大阪 ICT機器の整備計画/校務の情報化
第26回教育委員会対象セミナー「ICT機器の整備計画/校務の情報化の推進」が10月30日、大阪で開催され、西宮市や堺市、宝塚市がタブレットPCや校務支援システムの整備について、大阪市立本田小学校は、タブレット端末整備後の学校の取組について報告。奈良教育大学の小柳和喜雄教授は、アクティブ・ラーニングとICT活用について説明した。
詳細=www.kknews.co.jp/semireport
宝塚市教育委員会 教育研究課指導主事 筒井啓介氏 |
宝塚市教育委員会 研究指導員 中 章人氏 |
幼稚園12園、小学校24校、中学校12校、特別支援学校1校の宝塚市は、平成21・22年度にかけて校務環境のネットワークを整備し、全小・中・特別支援学校の全教職員に校務用PCを配備。当時、統合型校務支援システムは導入しておらず、校務関係書類は、各校でExcelやAccess等で作成。中には無料体験版など様々な成績処理システムが混在。「あゆみ」も各校書式が異なっていた。全てのシステムが非連携のため名簿も毎回手入力するという状況。グループウェアは校務用ではなかったこともあり、活用率は低かった。
そこでICT機器の更新を機会に全市共通の統合型校務支援システムを導入し、市内どこに転勤しても同じ環境で仕事ができるようにした。
学校運営でICTを
日常化
導入に向けて着手したのが、教育委員会と学校の連携だ。検討委員会と各部会(養護教諭部会、成績・進路処理部会、事務職員部会)を立ち上げ、教育委員会内部と市長部局も連携。近隣市町の導入事例視察も積極的に行った。
事前に教職員や生徒にアンケートや聞き取り調査を実施。これまで独自システムで校務を行っていた教職員が新しいシステムに抵抗を持っていた面を考慮して、授業日数や時限単位など宝塚市独自のカスタマイズにこだわり、プロポーザルを経て、校務支援システム「校支援」(両備システムイノベーションズ)に決定。「校支援宝塚市版」としてカスタマイズを行った。
学籍・成績関連では、単元テスト・定期考査の素点入力のみで自動的に評価・評点が算出される。通知表や定期考査、公立高校の調査書・指導要録は全て電子化した。児童生徒名簿を登録すれば、クラス名簿や健康診断記録簿、指導要録など全ての帳票に連動。帳票のカスタマイズはアップデートで対応する。
掲示板機能を利用して教育委員会との情報連絡体制を強化し、内部メール・外部メールを分けることで職員の負担を軽減。研修の参加率も高くなり、職員会議の時間も短縮した。行事予定機能では、各校で行事登録することで、他校行事を簡単に検索できるようにした。これにより出張や会議、部活の練習試合などのスケジュール調整がしやすくなった。
保健帳票は従来のシステムに合わせて大幅にカスタマイズ。中学校の各校・各種帳票書式にも合わせた。
小学校では全24校分の「あゆみ」の帳票を作成。出席簿は、転出入記入、備考欄記入ができるようにした。
これらの導入により、システム化のメリットを教員が実感できたことで、中学校の進路処理など各種帳票の統一が進んでいる。給食システムなどさらにICT化の要望も生まれており、「校支援」から宝塚市教育IC環境の改革が生まれている。今後は、セキュリティ確保も考慮し、1台のPCを情報用と校務用を切り分けて活用できる仮想シンクライアントシステムを導入予定。平成28年度は校務用PC1200台とネットワーク関連、平成29年度は児童生徒用PC1500台とファイヤウォール更新を予定している。(講師=宝塚市教育委員会教育研究課指導主事・筒井啓介氏/研究指導員・中 章人氏)
【第26回教育委員会対象セミナー・大阪:2015年10月30日】
【2015年12月7日】
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