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環境整備は進めたものの、それに伴うセキュリティ対策は忘れがち。しかしセキュリティ対策の不備は、致命的な事件を引き起こしかねない。
情報セキュリティの確保については、3つポイントがある。「1つ目は情報漏えい対策など対象(人)、内容(データ)の関係を保障する『機密性』。2つ目は情報を正確に伝達できる『完全性』。改ざん対策をし、間違った情報を伝えにくくすること。3つ目は『可用性』。使いたいときにはすぐにデータを取り出せる仕組みづくり。これがないと問題が起こる」と述べる。
すべての機器を
保守対象に
柏市では教育用ネットワークを構築、これを市内の学校限定で使う。2系統の校内LANも絶対に必要と強調。1つは生徒が授業で活用。もう1つは教員系で、教室でも先生は安心してネットワークを活用できるようにする。それに伴い、生徒用サーバーと教員用サーバーも必要だ。
情報機器の管理については、すべての機器が保守対象だ。「スクール・ニューディール」構想で保守は保証されていないため、予算は平成22年度以降計上したい考えだ。
盗難対策や
停電・雷対策も
盗難対策については、「安心しきっている先生方が多すぎる」と注意を促す。市では、機器のすべてに「柏市教育委員会」というシールを貼付。はがすと『開封済』という文字が残る。これだけでかなり違うという。PC盗難防止用の鍵とワイヤーがセットになった「ケンジントンロック」は、重要なデータを格納したサーバーなどに取り付けておけば、PCの盗難防止に役立つ。
各サーバーのバックアップは「可用性」保持のためにも重要だ。「データの管理とは、データを失わないようにすること。失ったデータは何百万円出しても戻らない」
PCにデータを保存してはダメで、サーバーに保存する。サーバー2系統のバックアップは徹底。Dドライブは基本毎日、Cドライブなら、週1回はバックアップ。容量が大きい写真や動画データは、別のハードディスクか、DVDで保存する。
停電対策(サージ対策)、とくに雷対策についても言及。電話線や電柱に雷が落ちると、データを格納したハードディスクがクラッシュしてしまうことがある。長時間の停電は、サーバーをシャットダウンするように学校に指導しておく。
落雷時には、電流の瞬断がたまに発生する。学校の中には大体3、4台、無停電電源装置が設置されており、数分電源が供給される。これで瞬断対策は出来る。「ノートPCは電流が流れなくなると、瞬時にバッテリーに返還されるため、停電対策にはノートPCがある意味一番安全」という。
ウイルス対策サーバー
高性能の方がいい
情報セキュリティポリシーの策定は重要だ。策定に際し、明確にすべきは、誰が責任を持ち、どんな情報を守るべきなのか、という点。特に情報漏えいは、人為的な要素に関係するものがほとんど。和田氏もポリシーをまとめた。「情報セキュリティポリシーの実施手順はパンフレットのように、ヴィジュアルに訴える方が理解しやすい」と述べる。
コンテンツフィルタリングについては、小学校用、中学校用、教員用の種別をする。フィルタリングの内容は、教育委員会内に設置されている「教育の情報化推進委員会」で判断している。
ウイルス対策サーバーは高性能の方が良い。メールやWeb参照もチェックが必要で、学校からもネットワークからも行う必要がある。環境復元機能を入れておけば、再起動すると環境も元に戻り、ウイルスも消える。
研修はリプレイス直後あるいは各機器導入後すぐの実施が望ましい。柏市では昨年度、研修受講者は延べ1112人に上った。市内の教員数は約1600名だから、大半の教員が研修を受けている。
「IT教育支援アドバイザー事業」も実施。アドバイザーは研修のみならず、コンテンツ作成支援、ICT活用授業の支援、学校Web運営の支援等を行う。中学校区に1人のアドバイザーが巡回する体制が望ましいというが、予算の関係で今年度は4名のアドバイザーが203日、学校を巡回。教員自身で問題をクリア出来るよう、オンラインサポート(http://www.kashiwa.ed.jp/
it/)の整備・運用にも力を入れている。
【2009年09月05日号】