最新IT教育―実践、成果を報告―ICT|フィンランド教育 |
|
全国1800の自治体提出率は、6月23日時点で93%となりました。しかし1校あたり平均1100万円(小中学校の場合1学年2〜3クラス程度)に達していない自治体もあるため、総額としてはまだ予算額に達していません。そこで文部科学省では2次募集を決定、9月議会に間に合うようにその締め切りを8月21日としています。ただ、自治体によっては7月議会開催の場合もあり、その際には先行して査定することも視野に入れておりますので、個別に相談対応を考えています。
1校あたりの申請額が多い自治体は、大分県、鹿児島県、滋賀県。いずれも教育委員会が熱心です。申請額が最も低い自治体は、茨城県、群馬県、愛知県です。1校あたり平均的な学校で1100万円想定の環境整備は、文部科学省始まって以来の補正額。これを利用しない自治体と利用する自治体では、環境格差が広がることが予想されます。これは大きな問題です。
「4目標達成最優先」と
誤解している教委も
現在も引き続き地方説明会を実施していますが、いまだに「4つの目標を達成しなければ周辺機器等が認められない」という誤解をしている自治体もありました。5月末には、「4つの目標を達成しなくても、周辺機器等は申請可能」としています。
最優先事項は、学校に必要な環境整備です。電子黒板の複数台の設置、実物投影機、デジタルコンテンツの整備、校内テレビ放送システムのデジタル化など、各教育委員会が優先したい整備が全て対象になりますので、現場の声を最大限生かし、学習効果の上がる環境の実現に積極的に取り組んで頂きたいと考えています。
電子黒板の学習効果
YouTubeで説明
6月16日に実施されたスクール・ニューディール推進会議では、会場内に電子黒板を複数展示、各教育委員会の方々がデジタルコンテンツなども含め自由に電子黒板に触れる時間を設けました。一度触った方は「便利、学習効果が期待できる」という感想を述べていました。
その一方で、ある県では、いまだに「電子黒板とは何か。よくわからない」という教育長もいると聞いています。そこで、電子黒板の学習効果の高さについて万人にPRできるよう、6月末から「YouTube文部科学省チャンネル」で、電子黒板を使って英語ノートデジタル版を操作、タブレットPCを紹介するなどの映像を配信しています。「見たことがないので分からない」という方には、こちらの映像を説明に使うなど活用していただきたいと思います。
予算獲得のポイントは
「あきらめないこと」
「明確なデータの提示」
財政当局への予算獲得の際、教育委員会の方は、他局に比較し、あきらめが早いと聞いています。財政部局にダメと言われると引き下がってしまうことが多いとのこと。教育委員会でも、他局のように、粘り強く提案していく姿勢が必要です。
なぜ電子黒板やコンピュータが普通教室に必要なのか、説明する際に提示すべきは、「データ」です。ICT環境や電子黒板の学習効果、校務の情報化による教員の雑務処理の時間が1人あたり20分以上短縮され、時間の削減化になる、などの研究成果を提示し、他市の整備状況に劣るわけにはいかない旨の説明などを財政当局にして頂き、説明と説得にあたっていただく努力が必要です。教員1人1台のPC整備ができないと、情報漏洩が起き、学校や教育委員会が苦しむことにもなりかねません(研究成果詳細はコチラ)。
また、デジタルテレビを各教室に整備する場合あるいは整備予定済の場合は、タブレットPCをデジタルテレビと併せて各教室に導入することで、電子黒板的な活用が可能です。
補助裏臨時交付金
使途決定済の場合は
地方債の活用を
2次募集でネックになるのは、6月議会で既に臨時交付金の使途が決まってしまい、補助裏が取れない自治体もある点です。その場合、地方債を充てるか、あるいは独自財源を充てるかのどちらかになります。独自財源が難しい場合は、地方債の活用が現実的です。地方債を充当することで、実質地方負担が1/4となります。
ICT支援員についても補正予算がついています。5校について1人の計算で250億円(厚生労働省の緊急雇用創出事業臨時交付金)が措置されていますので、こちらの活用も必要です。
1次募集で1校あたり1100万円に満たない申請の場合は、1100万円を目途に2次募集でさらなる整備を。今回の補正予算を契機に、これまでの遅れを一気に取り戻すつもりで整備をしていくことが重要です。
関連情報リンク
【2009年06月06日号】