最新IT教育―実践、成果を報告―ICT|フィンランド教育 |
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環境整備は
柔軟に対応
電子黒板は、当初はデジタルテレビ、実物投影機の完全な一体型が想定されていたが、電子黒板と地デジを視聴できるシステムが一体となっているなどそれ相当の機能があれば良いことになった。対象は公立の小・中・中等教育(前期課程)学校で台数は原則として各校1台だが、必要台数を整備できる。
周辺機器についても解釈が広がり、実物投影機、カード・ビデオ入力端子カード、ブルーレイレコーダー等録画機器、カメラ(デジタルカメラ・デジタルビデオカメラ・Webカメラ等)、プロジェクター、スキャナ、ソフトウェア、校内テレビ放送設備等なども対象だ。
ワープロ、表計算、プレゼンテーション、セキュリティなどの基本的応用ソフトはPCのハードウェアの範囲で認められる。デジタルコンテンツなどに関しては周辺機器という扱いで、平成21年度内のバージョンアップが明らかな場合、その費用も対象だ。
サポート体制や
省エネも配慮を
整備品目に関しては、その学校の活用目的に対応できる適切な性能を有することがポイントだ。校内LANのセキュリティ確保に対応したOSであること、省エネに配慮し、リサイクルの容易な製品等であることなど。例えば省電力設定やグリーン購入ガイドラインに対応した製品が望ましい。
「学校専用ヘルプデスク」など、活用をサポートする体制がとられている点も重要だ。安く買ったはいいが誰も面倒を見る役割がいない、という仕様は好ましくない、ということだ。
保守についても考える必要がある。購入後時間が経過して自然に壊れるなどの場合、普通の電化製品と同様、有償となる。大阪府では、今回の事業に伴い新規に整備予定のPCの有償保証経費の補助は5年分を想定しており、補助額はPC本体購入額の7%を上限とする方向だ。
森田氏は「交付金は、一般財源として自治体に入ってしまうため、自治体が自由に使える。しかしこの2分の1という補助はかつてない補助率。今使わないと国庫に戻り、大変残念なことになる」と述べた。
地域のばらつき
補正で解消を
森田氏は、ICTの全国の整備状況を地図グラフで提示。データは平成20年3月のもので、今年の補正措置の効果でずいぶん変わる、と前置きしながら説明した。
普通教室における校内LAN整備率は、東京都や大阪府、神奈川県などの大都市ほど整備率が低い。学校の超高速インターネット接続(30Mbps以上)率は、前回同様京都府、岐阜県などが良い成績だ。教員の校務用PC整備率は、かなり偏りがある。また教育用PCの普及率は、埼玉県は、平均で1台あたりの児童・生徒数8・5人。県立学校は5・0人となっている。神奈川県は、全体的に伸び悩む。千葉県は、LAN整備率もPC配備率も低い。茨城県は地域でばらつきがある。
東京都は、自治体としてのICT整備率は日本一だが、個人情報保護やセキュリティの関係で厳しい条件があったこともあり、学校整備の進捗が遅かった。しかし昨年から方針が変わり、都立高校と特別支援学校の整備率はこの2年で急速に進んでいる。
「『教育の機会均等』は日本に行き渡っている概念だが、同様に『学校環境整備の機会均等』も重要視すべき。補正予算が出ている今がチャンスと考え、得難い機会に整備率を上げてほしい」と述べた。※都道府県別、市町村別マップは「教育情報化推進協議会(EEAJ)」に公開。
【2009年09月05日号】